20180314トピック浅田訴訟全面勝訴 |
天海訴訟とは |
重度の障害者の人たちは障害者総合支援法により、自宅内でのヘルパー介護や外出時の介助などの福祉サービスを活用し、毎日元気に生活し、また社会へ参加しています。
ところが65歳になると介護保険法適用へ強制的に移行させられます。
支援法第7条が介護保険を優先して適用することを定めているからです。
一人の障害者が、身体の変化や環境の変化等何もなく、また生活スタイルの変更希望等もないのに、昨日までは支援法、今日からは介護保険法とされてしまうのです。
その結果、それまで負担金無料で活用してきた福祉サービスが、毎月1万5千円必要になります。(住民税非課税世帯の場合)
また自らの意思で社会参加を目的とした総合支援法の適用をうけてきたのに、目的の異なる介護保険法を適用されてしまうという、一個人としての尊厳を大きく傷つけられることになります。
この問題は「65歳の壁」として全国の障害者の方々と共通の問題です。障害者を年齢だけで差別するような法律は改められるべきです。
このような制度に対し、天海正克さん(千葉市在住)は裁判を起こしました。 |
お知らせ
ご協力ください
最高裁判所へ要請署名
本年3月、東京高裁は天海さんに対する千葉市の処分は違法であるとして、逆転勝訴判決を下しました。それにもかかわらず、千葉市長は裁判の引き延ばしを図り、最高裁へ上告受理申立てを行いました。今後は最高裁で争われることになります。支援する会では、市長の違法行為から9年もの長きにわたる異常状態を解消させるため、早期決着を目指して最高裁判所へ「天海正克さんの人権保障を遵守した東京高裁の判決を尊重し、最高裁においても公正な判断をしてください」との要請署名活動に取り組むことになりました。
これまでも地裁、高裁への署名活動にご協力いただいてきましたが、みたび、皆様方のご協力をお願いいたします。各団体におかれましても、所属の会員、組合員などの皆様へ署名の趣旨をお知らせいただき、一人でも多くの署名集約にご尽力ください。
2023年10月末を第1次集約とします。
〇 ニュースNo47を発行しました。(PDF)
〇 最高裁宛 署名用紙(PDF)
<署名用紙テキスト版はこちら>
~ Googleフォームからの署名もできます。こちらからお入りください~
URL: https://forms.gle/MpZubJPTBpAMQ4jm7
※ 紙の署名用紙に名前を記入された方は、Googleフォームへの記入はお控えください。
〇9月19日の総決起集会のご案内(PDF)
千葉市長へ抗議
裁判引き延ばしせず、判決を受け入れよ
2023年3月24日の東京高裁逆転勝訴判決を直ちに実行すること、裁判の引き延ばしは住民に寄り添うべき自治体が自らの責任を放棄するものであり、最高裁への手続きを取り下げることなどを求め、5月26日に市役所を訪れ、千葉市長へ抗議しました。
市長の代理として対応した職員は「判決は自治体の裁量権を過大にするもので受け入れがたい」と回答。「抗議は市長にはしっかり伝える」と応接しました。
〇 ニュースNo46を発行しました。(PDF)
<ニュースNo46テキスト版はこちら>
上告受理申立てを取り下げよ
千葉市長へFAXを送ってください
天海訴訟の高裁逆転勝訴判決を受けて4 月20 日、参議院議員会館で総括集会が行われました。千葉市が上告受理申し立てを行ったことから、最高裁での戦いの出発点にもなりました。現地参加者とオンライン参加者合わせて220 名の方が熱心に話し合いました。
自治体の役割を積極的に認めた判決であり、勝訴を勝ち取ったことは大きな成果である、という発言が多くありました。ニュース45をご覧ください。
しかし千葉市長は逆転勝訴を不服として、上告受理申立てをしました。住民に寄り添う姿勢を見せない市長に対して怒りの声が広がっています。
当面の取り組みとして「上告受理申立てを取下げろ」のFAX、メールを千葉市長あてに送る行動を進めます。
添付をご参照のうえ、再び皆様のご協力をお願いいたします。
5月31日までの取り組みです。
「上告受理申立てを取り下げよ」FAX要請文とひな形(PDF)
〇 ニュースNo45を発行しました。(PDF)
<ニュースNo45テキスト版はこちら>
東京高裁判決についての声明文(PDF)
〇 ニュースNo44を発行しました。(PDF)
<ニュースNo44テキスト版はこちら>
千葉市が上告
最高裁の戦いへ向け 院内集会
4/20院内集会案内(PDF)
院内集会案内
4/20(木)15:00開始
参議院議員会館 B107号室
会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。
手話通訳あり、オンライン配信あり
参加申し込みアドレス
https://onl.sc/KXXypkH
申し込みフォームからの入力が不安の方は、
amagaisoshou@gmail.com
へメールしてください。
1.メールアドレス
2.氏名
3.ふりがな
4.都道府県名
5.本人を含む人数
6.参加内容(参議院会館で参加、Zoom参加の別)
7.所属団体
8.連絡先電話番号
9.テキストデータ・手話通訳などの必要な支援、
10.そのほか不明点など、
を記載してください。
後日招待メールを送付します。
逆転勝訴!
上告断念を求める取り組みのお願い
天海訴訟につきましては、裁判の傍聴、活動資金援助、裁判所への署名など物心両面のご協力に感謝申し上げます。
本日2023年3月24日、東京高等裁判所は原告天海正克さんの訴えを認める判決を下しました。
その内容は
1.障害者総合支援法の申請却下決定を取り消すこと
2.障害者総合支援法の規定による身体介護、家事援助の支給決定をせよ
3.国家賠償法に基づき、ホームヘルプ利用料自費負担分、慰謝料等を支払え
などです。
千葉市長は、この判決を厳粛に受け止め、直ちに判決事項を実行すべきです。
また、9年にわたる原告天海さんの苦しみを、さらにこれ以上長引かせることの無いよう、最高裁判所へ上告せず、裁判を終結すべきです。
そのため皆さまのお力添えを、いまひとたびお願いいたします。
千葉市長あてに「上告するな」のFAXを大量に送り、世論の力で上告を断念させる取り組みにご協力ください。
千葉市長あてに各団体、支援者の声を添えてFAXしていただくことが力になりますのでご協力ください。
千葉市長 神谷俊一 様宛 FAX番号 043-245-5529
下記ダウンロード文書を参考にしていただいて、一枚でも多くのFAXを千葉市長に届けてください。 上告期限は4月7日ですが、一日でも早くお願いいたします。
「上告するな」FAX要請文とひな形(PDF)
〇 ニュースNo43を発行しました。(PDF)
<ニュースNo43テキスト版はこちら>
天海訴訟 逆転判決で障害者の権利と尊厳を守ろう!
3/24判決・報告集会案内(PDF)
判決・報告集会案内
3/24(金)
東京高等裁判所
13:00 東京高裁・裁判所前集会
14:00 受付・抽選
14:30 開廷
16:00 報告集会 衆議院第2議員会館 第1会議室
(前回までの会場と異なりますのでご注意ください)
会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。
報告集会はZOOM参加を基本とします。
報告集会のオンライン配信等 参加申し込みアドレス
https://forms.gle/CjrBWXk1cK51wpXp9
申し込みフォームからの入力が不安の方は、
amagaisoshou@gmail.com
へメールしてください。
1.メールアドレス
2.氏名
3.ふりがな
4.都道府県名
5.人数
6.参加内容(裁判所前集会、衆議院会館での報告集会、Zoom参加)
7.所属団体
8.連絡先電話番号
9.テキストデータ・手話通訳などの必要な支援、
10.そのほか不明点など、
を記載してください。
後日招待メールを送付します。
〇 ニュースNo42を発行しました。(PDF)
<ニュースNo42テキスト版はこちら>
東京高等裁判所あての要請はがき、締め切り
延長して取りくんでいます
要請はがきひな形(PDF)
判決は3月24日(金)
12/9第6回口頭弁論 傍聴席満席!
12月9日に控訴審第6回口頭弁論が行われました。
東京高等裁判所101号法廷定員86名のところ、車いす傍聴希望者11名で定員オーバーしましたが、そのうち5名の方に一般席に移っていただき、ピッタリ86名の満席となりました。
裁判長から本日を結審とし、2023年3月24日金曜日に判決すると伝えられました。
裁判前に、集まった署名追加分156筆を届け、署名数総計11,588筆となりました。
要請ハガキも多数届いているとのことです。
報告集会には、会場、オンライン合わせて、160名の方が参加し、応援メッセージをはじめ多くのみなさんの熱烈な発言をいただきました。
皆様お疲れさまでした、ありがとうございました。
次回3/24は判決です。
高齢になれば福祉制度が手厚くなるのが当たり前です。逆に利用料が有料になる、サービスが低下するというのは理不尽なこと。憲法と障害者権利条約を尊重した、障害者の生活を重視した判決をもらいたいと切に願います。
裁判官宛の要請はがき、署名は引き続き取り組んでいますので、よろしくお願いいたします。
〇 ニュースNo41を発行しました。(PDF)
<ニュースNo41テキスト版はこちら>
東京高等裁判所あての要請はがきに取りくんでいます
ご協力をお願いいたします
これまで行ってきた署名運動に加え、「要請はがき」運動にも取り組むことになりました。
1.署名運動・要請はがき運動の取り組みについて
・期 限…2023年1月31日
・要請はがきについて…私の一言、氏名(団体名)、住所を記入の上、ポストに投函してください。
・署名について…署名した署名用紙は天海訴訟を支援する会事務局まで送ってください。
(すでに署名済みの方(団体)におかれましても、要請はがきにご協力ください)
はがきのひな型はニュース41号の8ページにあります
12/9 いよいよ結審!
傍聴にきてください
勝訴まで、ゆるめずご支援を
10月14日に東京高裁で5回目の口頭弁論が行われました。
原告弁護団は準備書面<7>を提出。障害者総合支援法第7条は「羈束処分」ではなく「裁量処分」であり、65歳を過ぎても障害者総合支援法のサービスを継続適用する余地はある。天海原告の場合は経済的負担増を考慮することも含め継続適用すべきであると主張しました。
裁判長は「被告千葉市側に反論があれば11月中に提出するように。次回12月9日で結審する」と述べました。
原告弁護団は「準備書面7はこれまでに主張してきた論点を含め、総まとめの主張を行った」と説明しています。また、判決は2月または3月ごろではないかと推測しています。
第6回口頭弁論では天海原告の最終陳述が予定されています。
第6回口頭弁論
12/9(金)
東京高等裁判所
13:00 東京高裁・裁判所前集会
14:00 受付・抽選
14:30 開廷
15:30 報告集会 参議院議員会館 1階101号室
手話通訳あります
会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。
報告集会はZOOM参加も可能です。
報告集会のオンライン配信等 参加申し込みアドレス
https://forms.gle/QdKZGSuNaEdbKgGHA
申し込みフォームからの入力が不安の方は、
amagaisoshou@gmail.com
へメールしてください。
1.メールアドレス
2.氏名
3.ふりがな
4.都道府県名
5.人数
6.参加内容(裁判所前集会、参議院会館での報告集会、Zoom参加)
7.所属団体
8.連絡先電話番号
9.テキストデータ・手話通訳などの必要な支援、
10.そのほか不明点など、
を記載してください。
後日招待メールを送付します。
〇 第6回口頭弁論ご案内(PDF)
〇 ニュースNo40を発行しました。(PDF)
<ニュースNo40テキスト版はこちら>
10/14第5回口頭弁論
あふれる傍聴者で満席に!
天海訴訟は東京高等裁判所の審理も大詰めを迎えています。
原告天海さん側は、
・千葉地裁判決は憲法や法律に規定のない「社会保険優先原理」を根拠にしている不当判決であること。
・千葉市がすべての福祉サービスを切り捨てた行政処分は、比例原則に反すること。
・経済的負担の増大は、障害者福祉継続の正当な理由になること、等々を主張してきました。
10月14日の第5回口頭弁論では「障害者が65歳を過ぎて、引き続き障害者総合支援法のサービスを継続することが可能か。市にそのような判断をする裁量があるか」がテーマになりそうです。65歳になった障害者が、介護保険を申請しない場合にバッサリとすべてのサービスを止めてしまうのは、全国的には千葉市などごく一部の市町村だけであり、大多数のところは引き続き障害者サービスを継続しています。厚労省もそのように文書通知し、指導しています。岡山の浅田訴訟では地裁も高裁でも判決の中で障害者福祉適用の余地を認めています。
原告側はこれまでもそのように主張してきましたが、あらためて「引き続き障害者総合支援法のサービスを継続すべきである」と主張します。
行政相手の福祉制度の裁判は、社会の関心の強さが力になります。
裁判所も見ています。
傍聴席をあふれるほどの支援者で埋め尽くしましょう。
皆様の力強いご支援をお願いいたします。
第5回口頭弁論
10/14(金)
東京高等裁判所
13:00 東京高裁・裁判所前集会
14:00 受付・抽選
14:30 開廷
15:30 報告集会
参議院議員会館 地下1階 B103会議室へ移動
会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。
報告集会 オンライン配信
申し込みアドレス https://forms.gle/T6DoXdpN2apX1Qw49
申し込みフォームからの入力が不安の方は、
amagaisoshou@gmail.com
へメールしてください。
1.メールアドレス
2.氏名
3.ふりがな
4.都道府県名
5.人数
6.参加内容(裁判所前集会、参議院会館での報告集会、Zoom参加)
7.所属団体
8.連絡先電話番号
9.テキストデータ・手話通訳などの必要な支援、
10.そのほか不明点など、
を記載してください。
後日招待メールを送付します。
〇 第5回口頭弁論ご案内(PDF)
〇 ニュースNo39を発行しました。(PDF)
<ニューステキスト版はこちら>
経済的負担は介護保険申請をしない正当な理由
第4回口頭弁論で主張
東京地方が連日の猛暑の中、7月1日に東京高等裁判所で4回目の口頭弁論が開かれました。傍聴に駆けつけてくださった皆様、報告集会会場参加、ライブ配信視聴の皆様、暑い中大変ありがとうございました。
裁判で原告弁護団は
1 天海さんは介護保険に強制移行されれば非課税世帯の軽減措置を受けても毎月1万5千円は負担しなければならなくなる。
2 障害福祉において、課税世帯で自己負担額(4,600円または9,300円)をしていた障害者が介護保険に移行した場合は軽減措置により自己負担が0円になるが、天海さんは非課税世帯であり当初から障害福祉の自己負担はゼロだったので、この措置は受けられない。所得の低い非課税世帯の障害者が介護保険移行後は1万5千円の負担が生ずるという、逆転現象が生じている。矛盾した制度になっている。
3 天海さんが介護保険の申請を拒む正当な理由があった。
このような制度事情の説明も含め、経済状況の聞き取りもせず、障害福祉を全部却下した処分は違法である。
4 藤岡毅証人の証人尋問を採用すべきである。
障害者自立支援法違憲訴訟が提訴された経緯や、国と締結した基本合意の内容も無視することはできず、障害者自立支援法違憲訴訟全国弁護団の事務局長である藤岡毅証人の尋問によって詳細を明らかにする必要性は高い。
と主張しました。
しかし、裁判長は証人尋問の必要はないとの判断を示しました。
被告千葉市からは反論の発言はありませんでした。
天海さんの日常生活、ヘルパーの介助の様子が上映されました。
閉廷後に参議院議員会館に移動し、報告集会が行われました。原告の天海さんをはじめ、支援する会代表の八田さん、向後弁護団長をはじめ坂本弁護士などの弁護団の弁護士、支援する会の皆さんなどが参加しました。
八田代表から「本日は珍しく裁判官の発言が多かった」とあいさつの中で報告がありました。
向後弁護団長から「裁判長から『境界層軽減措置の有無は、千葉市の手続き違法性判断に影響あるか』との問いがあった。千葉市は影響ないという判断だろう。原告からは準備書面を出す。その中で意見を述べたい。」と説明がありました。
坂本弁護士からは「1万5千円の負担の重みを千葉市が全く考慮しなかったのは、手続き上違法であると主張したい。これでは違憲訴訟の成果がないものになってしまう。藤岡意見書は正式な証拠として裁判所が受け取っているので、証人尋問されないのは残念だが、裁判所の判断材料にはなっている。次回の準備書面では、障害者運動の(経済負担が軽減された)成果を書く」と説明がありました。
また天海さんの日常を記録した動画が裁判所に提出されましたが、その一部、短縮版が報告集会でも上映されました。
次回で結審?
参加者から「次回で結審か?」との質問に対し、向後団長は「原告側から準備書面6を提出する。被告千葉市がそれに反論しなければ結審になる可能性が高い。判決はその2~3か月後になると見込まれる」と説明がありました。
また坂本弁護士から「控訴審では通常口頭弁論は1回程度。高裁でこれだけ開かれるのは珍しい。それだけ裁判官が関心を寄せているのだろう。経済的負担が介護保険を申請しない正当な理由に当たるのか否か、これが大きな争点。『正当な理由』の解釈は裁判官によっても差がある。浅田訴訟の岡山地裁判決、広島高裁判決では経済的負担を正当な理由と判断している」と解説がありました。
天海原告から「勝訴を目指して頑張りたい」とあいさつがありました。
報告会の様子はZOOMによりライブ配信され、会場来場者と合わせて全国約100人の方が参加・視聴しました。
引き続くご支援をお願いいたします。
次回第5回口頭弁論は10月14日
(金)午後2時30分に開廷されます
〇ニュースNo38を発行しました。(ダウンロード)
<ニューステキスト版はこちら>
内容は
第4回口頭弁論報告
原告側準備書面5
等です。
ニュースへの投稿、意見、感想などお寄せください。
〇 追加の署名活動に取り組みます
締め切りは2022年9月30日
東京高等裁判所への署名運動要請文(ダウンロード)
署名用紙(ダウンロード)
第3回口頭弁論
千葉市答えず
第3回口頭弁論は4月22日に行われました。
傍聴された方、ライブ配信視聴の方、ありがとうございました。
口頭弁論では前回原告側が主張した「毎月1万5千円の負担は、障害年金で生活する障害者には過度な負担だ」との主張に対し、被告千葉市は何も答えませんでした。裁判官は障害福祉では無料であった利用料が介護保険で有料になった負担についてかなり気にしているようです。
また、被告千葉市は裁判官から質問された「境界層措置」について「天海原告は生活保護を申請しておらず、生保を受けていないので、境界層措置の対象にならない。その説明も必要ない」と回答しました。被告は介護保険を申請しないのはけしからんと言いながら、生保については申請していないので関係なしという主張は、市民の経済負担に思いが至らない、住民福祉に携わる自治体として無責任な態度と言わざるを得ません。
また原告側の「一刀両断にすべての障害福祉サービスを不支給とすることは、障害者福祉の目的と不支給処分の大きさを比較したとき、きわめて不均衡で比例原則に反する」という主張についても全く答えはありませんでした。
裁判官から原告側に対して「市の処分について違法と主張しているが、その理由をわかりやすく説明してほしい」との質問があり、次回に回答することになりました。弁護団は「(移行について十分な説明をしていない、等)手続きの違法と、中身の違法の両方が違法だと主張する」と語っています。
次回4回目の口頭弁論では、第3回で結論が保留された、ケアマネージャー加藤久美さんと、意見書を提出している藤岡毅弁護士の陳述の可否について結論が出るとの見通しです。
現在、天海さんの日常生活をビデオに撮り、裁判所に提出する準備が進んでいます。
〇ニュースNo37を発行しました。
<ニューステキスト版はこちら>
内容は
第3回口頭弁論報告
報告集会での発言
弁護団長インタビュー
第4回口頭弁論のお知らせ
等です。
ニュースへの投稿、意見、感想などお寄せください。
天海さんが利用するすべてのサービスを止めることは比例原則に反する
第2回口頭弁論で「千葉市の対応は違法」と主張
プーチン率いるロシア軍がウクライナを侵略、攻撃しています。
どのような理屈があろうとも、人の命を奪い、障害者をつくる軍事力行使は許されません。
ロシアはすぐに戦争をやめて軍隊を引き揚げるべきです。
東京高裁第2回口頭弁論は2月15日に行われました。
傍聴された方、ライブ配信視聴の方、ありがとうございました。
原告弁護団の坂本千花弁護士による陳述が行われました。
坂本弁護士は、すべての障害福祉サービスを不支給とすることは障害者福祉の目的と不支給処分の大きさを比較したとき、きわめて不均衡で比例原則に反すると主張しました。また千葉地裁の判決の問題点なども指摘しました。
原告側から九州大学名誉教授 河野正輝氏、障害者自立支援法違憲訴訟団 藤岡毅弁護士、千葉県自治体問題研究所理事長 八田英之氏の3件の意見書を提出しました。
被告千葉市側からは、第1回口頭弁論で裁判長から宿題の出ていた「介護保険の境界層特例の適用を検討したのか」に対する回答(「生活保護の申請がなかったので適用しなかった」)が書面で提出されました。
傍聴者は42人、報告集会は会場とリモート参加合わせて150人でした。
(支援する会ニュースNo36をご覧ください。)
〇ニュースNo36を発行しました。
<ニューステキスト版はこちら>
内容は
第2回口頭弁論報告
控訴審の審理経過と今後の課題
第3回口頭弁論のお知らせ
当面の取り組み
等です。
ニュースへの投稿、意見、感想などお寄せください。
〇ニュースNo35を発行しました。
No.35 目次
P1~2……学習決起集会報告
P3……訴訟の現状報告 向後弁護士
講演1 藤井講師
P4…… 講演2 坂本弁護士
P6…… 講演3 山﨑講師
P7…… 裁判案内 行動提起
P8…… 第2回口頭弁論案内チラシ
自助の強要は憲法違反!
天海訴訟 知ろう・学ぼう・応援しよう
~高裁での逆転判決のために~
2022/1/19 学習決起集会
ご参加ありがとうございました
2022年1月19日、東京高裁で審理中の天海訴訟の勝利に向け、千葉地裁判決の問題点と裁判の意義を学び、さらに大きな運動に発展させることを目指し学習決起集会を開きました。厳しいコロナ禍の中でしたが参議院議員会館の会場とZoomによるライブ視聴者合わせて300名が参加しました。多くの団体の協力を得ることができ、これまでにない大きな集会となりました。国会議員の方にもおいでいただき挨拶をいただきました。ご参加の皆様、ご協力いただいた皆様に感謝いたします。
「65歳の誕生日を悲しませるな」 「権利条約は夜空に輝く北極星」 「千葉地裁判決の違法性明白」 「自助・共助・公」論には法的根拠はない」など、講演から多くのことを学びました。
〇天海訴訟の現状報告 ・天海訴訟弁護団 向後 剛 弁護士
〇講演
・「天海訴訟の今日的課題」
講師 日本障害者協議会代表 きょうされん専務理事 藤井 克徳 氏
・「天海訴訟、東京高裁で勝つために― 千葉地裁の判決の問題点」
講師 自立支援法訴訟弁護団 坂本 千花 弁護士
・政策動向を踏まえ浅田訴訟と天海訴訟を振り返る
講師 日本障害者センター理事 山崎 光弘 氏
〇原告決意表明 応援メッセージ紹介 そのほか
学習決起集会の概要は支援する会ニュースNo.35をご覧ください。配布資料は下記からダウンロードできます。
2022.1.19
学習決起集会配布資料1ダウンロード
学習決起集会配布資料2ダウンロード
学習決起集会配布資料3ダウンロード
千葉地裁の不当判決を
このままにはさせない!
10/13(水)東京高裁 第1回口頭弁論
ご参加ありがとうございました。
10月13日に東京高等裁判所で、天海訴訟の控訴審第1回口頭弁論が行われました。
雨の中でしたが、8社の参加で記者会見を行い、「東京高裁での正当な判決を求める」署名6,523筆を東京高裁へ提出しました。裁判開始前には裁判所前で訴えを行い、口頭弁論傍聴後に報告集会が行われました。
ご参加の皆様、お忙しい中ありがとうございました。
報告集会は参議院議員会館で行われ、会場に50名が、ライブ中継には100名の方が参加しました。八田代表の挨拶、弁護団からの報告、各支援団体の代表の方からの応援、ライブ中継参加者の方からの発言などが1時間40分にわたり行われ、原告の天海さんが決意表明を行い散会しました。
力強いメッセージ、貴重なご意見など大変ありがとうございました。(報告集会での発言はニュースNo.34をご覧ください)
次回は2022年2月15日(火)14:30からです。
今後原告側からの要請で、千葉県自治体問題研究所理事長 八田英之さん
九州大学名誉教授 河野正輝さん
自立支援法違憲訴訟団 藤岡毅弁護士
から意見書が出される予定です。引き続きご支援をお願いいたします。
高裁あて署名は引き続き行います
ご協力ください
署名集約:2022年1月31日
(署名用紙のダウンロードなど下記をご覧ください)
〇ニュースNo34を発行しました。
No33目次
P1……逆転勝利を目指して
P2……広く知らせること重要 八田
……私も頑張ります 原告 天海
……弁護団増員されました
P3~……報告集会・支援団体発言
P5…… 署名継続のお願い
P6…… 報告集会・弁護団発言
〇ニュースNo33を発行しました。
No33目次
P2……逆転勝利を目指して 天海
P3……勝訴に向けて頑張りましょう 八田
P4……裁判の争点と意義 弁護団 向後
P5……応援メッセージ
P7……会費・カンパのお願い
P8……傍聴、報告集会案内
◎6月27日「天海訴訟判決報告」学習交流総決起集会講演をYoutubeで公開しています。
講師 日本障害者センター 山崎光弘 氏
ご希望の方はメールでお知らせください。
申し込み:天海訴訟を支援する会 担当 三橋
mitsuhashi.t A jf6.so-net.ne.jp (Aを@にしてください)
高裁あて署名にご協力ください
2021年6月27日、支援する会は「天海訴訟判決報告」学習交流総決起集会を開き、千葉地裁の判決がいかに不当判決であるのかを学びました。
憲法、法律に根拠をもたない「保険優先論」を論拠にしていること、重度障害者の生活実態をかえりみていないこと、住民の命と健康を守るべき地方公共団体としての千葉市の責務を無視していることなど、法律専門家の裁判官が書いたものとは言えない内容であることが明らかになりました。
このまま、この判決が確定してしまっては、日本の社会保障制度が大きな後退をしてしまう恐れがあります。
原告の天海正克さんは「勝利するまでがんばる」と決意表明しました。
支援する会では、支援の輪を大きく広げ、東京高裁での逆転勝利をめざし、「東京高裁での憲法と法律に基づく公正な判決を求める」署名運動を展開することにしました。
さらに大きなご支援をお願いいたします。
【締め切り】
第2次締め切りは8月20日、最終締め切りは9月20日です。
★署名用紙 ダウンロード
:東京高裁に向けての署名協力要請文
:天海訴訟東京高裁宛署名用紙
★ネット署名(個人)はこちらから
http://chng.it/LnbnTFfb
声明 不当判決に抗議し、
高裁での勝利をめざしてたたかいます
2021年6月2日
天海訴訟を支援する会 代表 八田英之
5月18日、千葉地裁は、私たちの「障害者が65才になると強制的に介護保険に移行されるのは不当であり、違法である」という訴えを退け、被告千葉市の主張のみを認める不当な判決を下しました。私たちは、これに断固として抗議し、控訴してたたかいます。
千葉地裁の判決(以下「判決」)は、先立つ岡山の浅田訴訟とも現在も圧倒的に多くの自治体で行われている実際の処分とも異なった異例のものです。
「判決」は、「介護保険を利用させなければ、公費負担の制度よりも社会保険を優先するという社会保障の基本的な考え方に背馳するとともに他の者との公平にも反し、相当でない」という実定法的にも国際的な社会保障の考え方とも異なる価値判断を前提にして、障害者総合支援法(以下「支援法」)や介護保険法の独自の強引な解釈をもって、障害者が65才になった時、介護保険の認定申請をせず、引き続き「支援法」による自立支援給付の申請を行った場合、その申請は不適法として却下されるべきものとしました。
障害者への自立支援給付から介護保険に移行されると、様々な違いが出てきますが、とりわけ経済的な負担は、住民税非課税世帯でもそれまでの負担ゼロから1万5千円の利用料がかかります。天海さんの場合もそうであり、収入の1割以上の負担となり、それだけ「支援法」による社会参加の機会が奪われました。
浅田訴訟では、「支援法7条」は自治体の裁量処分を定めたもの、すなわち個々の障害者の実状を勘案して自立支援給付をつづけることが相当である場合がある、としました。「判決」は、他の市町村が介護保険の認定申請をしない障害者に対して、支援法による給付を継続し、介護保険に移ることを勧奨しているのは、(不適法な)「事実上の取り扱い」であるとしました。「判決」は障害者の生活の実状などを全く見ようとしない、冷たいものと言わざるを得ません。この判決が容認され、この考え方が全国的に広がることを懸念します。
そもそも、公費負担の制度よりも社会保険を優先するというのは、日本政府がそうした政策をとっているというにすぎずません。社会保障財源を税でのみ賄うか、社会保険という仕組みを組み合わせるかは国によって異なります。例えば、医療保障は日本では社会保険ですが、イギリスはNHSという公費制度です。それをあえて「社会保障の基本的な考え方」としているところに、最近の「自助・共助・公助」論の影を感じないわけにはいきません。
「公平」についていえば、逆に介護保険の応益負担が問題ではないでしょうか。社会保障における負担の基本的考え方は、応能負担です。社会保険の場合は、おもに保険料において応能負担であり、利用するときに応益負担とうのは保険原理に反するのではないでしょうか。さらに、公平を言うなら、障害者が65才になるといきなり収入の1割もの負担が課せられるというのは、障害者を年齢によって差別する不公平なものではないでしょうか。さらに、65歳過ぎても障害者グループホームに入居している人などは、介護保険施設に同様のサービス施設がないことから、引き続き「支援法」による給付を受けています。これは、障害者を施設と在宅で不公平に扱っていることになります。
そもそも、障害者への自立支援給付は、障害者の社会参加を保障するためのもので、利用時の負担は応能負担であり、住民税非課税世帯は無料でした。2006年4月施行の障害者自立支援法によって応益負担が導入され、これに対して多くの自立支援法違憲訴訟が起こされ、2010年1月7日民主党政権の時、政府と原告団との間で基本合意文書が結ばれ、障害者の応能負担が復活しました。この時、「支援法」7条の廃止を検討することも書き込まれました。自民党が政権に復帰し、「支援法」7条は、そのまま残されています。
私たちは、こうした障害者が続けてきたたたかいの到達点を守りたいと考えます。生きる権利をたたかって獲得しなければならないというのは残念なことですが、そうしなければ、人々が安心して暮らせる世の中になりません。
東京高裁での勝利判決のために、皆様の引き続くご支援を心から訴えます。
◎6月27日「天海訴訟判決報告」学習交流総決起集会
のお知らせ
13:00~16:00
千葉市民会館4階
オンラインでも参加できます。
参加申し込み方法
FAX(043-308-6621)またはメール shochiren @ bf.wakwak.com
で、「6/27参加希望」、お名前とメールアドレスをお知らせください。
6/14からグーグルフォームからも申し込めます。
https://forms.gle/tNdyP29yX2ziUYwYA
QRコードもご利用ください。
詳細は こちらのチラシ をご覧ください
○ニュースNo32を発行しました。
No32目 次
P2……声明 不当判決に抗議します
P4……天海訴訟の報告 弁護団 向後剛
P6……会費・カンパのお願い
P7……逆転勝訴を 山崎光弘
P9……天海訴訟の政治的意味 浅野史子
P11……応援メッセージ
P12……学習交流総決起集会
○ニュースNo28を発行しました。
○ニュースNo29を発行しました。
〇ニュースNo30(改)を発行しました。
〇ニュースNo31を発行しました。
◎裁判長宛の障害者支える判決を求め署名(1343団体と213の点字署名)
を1月6日に裁判所へ提出しました。
(ニュースNo29)
ご協力ありがとうございました。
署名用紙などのダウンロード
署名協力要請文
団体署名用紙
◎井上英雄名誉教授の意見論文と
日本障害者センター山﨑光弘氏の意見論文を
掲載します。
ご一読ください。
井上英夫名誉教授意見書「障害のある人・高齢者の人権・尊厳と自己決定」(リンク)
山﨑光弘氏意見書(リンク)
千葉地方裁判所案内図(リンク)
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天海訴訟は、全国の65歳を迎える障害者共通の問題
支援の輪を広げてください
この訴訟は全国の障害者共通の問題です。またこれまでに積み上げてきた障害者福祉制度の後退を食い止める裁判です。この訴訟に勝利するためには、世論の高まり、国民の皆さまのご協力が必要です。
お願い1 支援する会に入会してください。
会費は、1口500円
振込用紙に、住所、氏名、電話番号、メールアドレス、「会費」と書いて振り込んでください。
お願い2 裁判には費用がかかります。支援活動にも経費が必要です。
カンパのご協力をお願いいたします。
お願い3 支援する会メーリングリストにご登録ください。
ニュース配布、連絡、情報交換などに活用します。
mitsuhashi.t@jf6.so-net.ne.jp
へメールしてください。@を半角にしてお送り下さい。
会費・カンパ金振込先
郵便振替 00260-0-87731
「天海訴訟を支援する会」
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事務局
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@を半角にしてお送り下さい。
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<支援する会から>
天海正克さんの決意
支援する会入会申込書
支援する会会則
2015年障千連総会特別決議
<支援する会ニュース>
支援する会ニュースNo.27
支援する会ニュースNo.26
支援する会ニュースNo.25
支援する会ニュースNo.24
支援する会ニュースNo.23
支援する会ニュースNo.22
支援する会ニュースNo.21
支援する会ニュースNo.20
天海訴訟を支援する会ニュース20号テキスト版
2019.2.13発行
<次回:第19回口頭弁論>
3月5日(火)14:00開廷
12:30から きぼーる 前で街頭宣伝 裁判所まで行進
閉廷後、県弁護士会館で報告集会の予定
P1、P2
岡山 浅田訴訟判決
「法第7条は調整規定であり、
必ずしも介護保険優先とは限らない」
「(月1万5千円の)負担は大きい」広島高裁も認める
浅田訴訟広島高裁の判決は「そもそも介護保険と障害者福祉の理念が全く異なるものである」「7条は二重給付の調整規定であり、介護保険優先原則は一律適用すべきでなく個別事情に応じた判断をすべき」「低所得者に対する過酷な自己負担をするべきでないこと」など、わかりやすく納得のいく理由で原告浅田さんの訴えを認め、障害福祉を切った岡山市の処置を違法と断じました。(P3に関連項目)
岡山市が最高裁へ上告しなかったため、判決は確定しました。天海訴訟にとって大きな追い風となるでしょう。この判決の意義を全国の障害者が享受できるようになるためには、さらに天海訴訟の完全勝利が必要です。
介護保険への強制移行があれば市町村が負ける、という流れを天海訴訟の勝利で決定づけたいものです。厚労省も制度改正への動きを取らざるを得なくなるでしょう。
新たな負担が発生するのであれば、第7条は憲法違反
「応能負担原理によって福祉を利用する障害者の権利」を侵害
第18回口頭弁論は2018年12月18日に行われました。40人近い傍聴者があり、報告集会も行われました。
今回原告から以下の書面を提出しました。
1 日本障害者センター 山崎さんの意見書
(1)介護保険サービスと障害福祉サービスの違い(①目的・理念、②財源等、③利用者負担、④対象、⑤認定基準、⑥サービス内容)と、それが引き起こす諸問題、
(2)障害者の生活状況、
(3)自立支援法違憲訴訟の経緯など、65歳問題の背景を、豊富な資料に基づき詳しく説明しています。また、今回の千葉市の対応が、自治体の本来的役割(全ての市民の安全や生活を守る)を果たしていないことが指摘されています。
2 支援する会 三橋さんの陳述書
三橋さんが天海さんと同行したときの千葉市担当者とのやり取りや、三橋さんらが聞き出した厚生労働省職員の見解を述べています。そして、今回の千葉市の処分は無責任・非人道的で、千葉市の責任は重大だと指摘しています。
3 証拠申出書1(人証:被告側)
対象者:花見川区担当者 千葉市課長 千葉市長
質問事項:「千葉市はどのような考えで本件処分を行ったか」「そこに天海さんへの配慮はあったか」等を確認するための質問
4 証拠申出書2(人証:原告側)
対象者:山崎さん 三橋さん 天海さん
質問事項:それぞれの意見書・陳述書に述べられていることに関連する事柄
今後提出を予定している書証
1 井上先生の論文(障害をもつ人・高齢者の人権・尊厳と自己決定)
2 浅田訴訟高裁判決
となっています。
口頭弁論のやり取りの中で、山崎、三橋両氏の意見書等に対し、その内容に被告からの異議がないため人証はしないことになりました。また、被告側の人証は当人の陳述書を見てから決めることになりました。
次回第19回口頭弁論は2019年3月5日(火)14:00から行われます。
次回提出予定の金沢大学名誉教授井上先生の論文は、ワイマール憲法までさかのぼり社会保障論を展開、また過去の我が国の社会保障関係の裁判例を多く引用して、人権の意義を深く解明するものになっています。さらに裁判官の姿勢についても言及されています。大きな一石が投じられることになります。お忙しい中、大部の論文を執筆していただき大変ありがたく御礼申し上げます。
次回の口頭弁論では、これまでの弁論の集大成となるような内容となる見込みです。
天海さんのように、心身に変化なく65歳を迎えた場合に、新たに利用者自己負担が発生する場合は憲法第14条、第25条から導かれる「応能負担原理によって福祉を利用する障害者の権利」を害するものであり憲法違反ではないでしょうか。
被告千葉市は追いつめられるでしょう。
P3
浅田訴訟、高裁も全面勝訴!
岡山市長は最高裁に上告せず 判決が確定
65歳になり天海さんと同様、すべての介護サービスを打ち切られた岡山の浅田達雄さんが提訴した裁判は、岡山地裁の全面勝訴に続き2018年12月13日広島高裁でも再び勝訴しました。判決では障害者総合支援法第7条は調整規定であり、介護保険優先を定めたものではないとしました。大変うれしい判決です。天海訴訟にも大きな追い風となるものです。
弁護団の声明をご紹介します。
岡山市長による上告断念を受けた
弁護団声明
2018年12月18日
浅田訴訟弁護団
団長 弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)
本日、岡山市議会本会議にて、岡山市長大森雅夫氏が、浅田訴訟の控訴審判決に対して、最高裁へ上告をしないことを表明した。
これにより浅田訴訟は、控訴審判決が確定し、その全面勝訴が確定することとなる。そのため、浅田訴訟は訴訟としての終結を迎えることとなる。
しかし、岡山市長や担当課職員は、この間、浅田さんに対し、誤った処分により浅田さんを酷く傷つけたことなどに対し、何らの謝罪も、反省の言葉もない。
そのため、弁護団・訴訟団としては、この度の岡山市長による誤った判断に対して謝罪等を含めた適切な対処を求めていくつもりである。
また、浅田訴訟において問題となっていたいわゆる65歳問題の原因たる総合支援法7条は、これが改正された訳ではない。これから65歳を迎える全国の障害者には、浅田さんと同様の不支給処分を受けるのではないかと不安な思いを抱きながら生活する者が少なくない。
そのため、この問題については引き続き全国の障害者や支援者等と連携し、厚労省との定期協議の場などを通じて法改正をも含む抜本的解決のために奔走していく必要がある。
したがって、この度の岡山市長による上告断念は、決して我々の活動の終わりを意味するものではなく、むしろ次の活動に向けた足掛かりであると考えている。
我々は、すべての障害者が安心して生活できる世の中が実現するまで、諦めることなく前進していく。 以上
浅田訴訟高裁判決確定(見込み)を受けて
2018年12月18日
障害者自立支援法違憲訴訟団
65歳を過ぎると介護保険の利用が強要され障害者福祉の利用が妨げられることの理不尽さを訴えた浅田達雄さんの訴えを正しいとした岡山地裁2018年3月14日判決、それを維持した同年12月13日広島高裁岡山支部判決に対して、岡山市長が上告を断念する旨議会にて発表し、浅田さん全面勝訴判決が確定することとなった。
浅田さん、支援者、弁護団の奮闘に心より敬意を表し、ともに喜びたい。
この判決の意義(そもそも介護保険と障害者福祉の理念が全く異なるものであること、介護保険優先原則は一律適用すべきでなく個別事情に応じた判断をすべきこと、低所得者に対する過酷な自己負担をするべきでないこと等、障害者の人権を尊重すべきとする両判決に貫かれる姿勢)がすべての障害ある人にもたらされることが望まれる。
65歳問題(支給時間の不当な制限・利用可能施策の制限・介護保険による1割~2割の応益負担など障害者総合支援法7条の規定する介護保険優先原則により障害者が65歳になると障害福祉の利用が困難になる諸問題)にいまなお苦しむ人が全国でいる現実があり、少なくとも、国は同判決の趣旨を尊重し、本件個別解決にとどまらず、介護保険優先原則による権利侵害の全ての根絶に向けた対応を徹底されたい。
地裁判決、高裁判決ともに、当訴訟団と国との2010年1月7日基本合意文書において、介護保険優先原則の廃止を国が検討することを裁判所に約束していることを重視し、また、当訴訟団が国との定期協議において要求して実現した65歳問題実態調査結果を踏まえた司法判断を下している。
当訴訟団は、基本合意の実現を求め、介護保険優先原則の廃止を求めて活動を続けてきたが、国はこれら司法判断を真摯に受け止め、介護保険優先原則の廃止に向けた抜本的制度改革に1日でも早く取り組むべきである。
P4
浅田訴訟に続き天海訴訟の勝利を!
浅田弁護団招き 学習・決起集会
2018年11月25日(日)午後、千葉市内で「天海訴訟 学習・決起集会」が開かれ、支援者ら40人が参加し熱のこもった集まりとなりました。
天海訴訟と同じ内容で争われていた岡山市の浅田達雄さんの訴訟は、今年3月岡山地裁で原告浅田さんの全面勝訴となりました。
その浅田訴訟の原告弁護士の一人、上尾洋平(うわお ようへい)氏による「浅田訴訟の意義と勝利判決を生かす道」と題した講演がありました。上尾氏は「判決は障害者自立支援法第7条(現在の障害者総合支援法第7条)の介護保険優先の規定に限定をかけたと言える。しかし、憲法判断には踏み込まず、介護保険優先原則の不合理性を全面的に認めたわけではない。介護保険優先原則を撤廃することが目標であり、今後同様の判決を積み重ね、撤廃を求めていくことが重要」と話しました。
提訴から丸3年を迎える天海訴訟の弁護団長向後剛氏からは「65歳という年齢で障害者の処遇が変わるのは不合理である。介護のサービスを途切れさせてはいけない。「給付の途絶」に陥らせた天海さんに対する処分は自治体の裁量権の限界を逸脱した違法な処分」と語りました。
参加者から「この裁判の意義が少しずつ分かってきた」「提訴後、不十分ながらも高齢障害者の介護保険利用料を軽減する法律改正があった。判決前に前進面が見られる」「この裁判は天海さん一人を救うものではない。表に出ていない多くの障害者に関わる裁判だ」など熱心な意見が交換されました。
最後に、原告の天海さんは「必ず裁判に勝利したい。介護保険優先を早く撤廃したい」と決意を語りました。
「天海訴訟の完全勝利を目指し、ガンバロー」を三唱して散会しました。
会費・カンパのお願い
多くの皆様から会費、カンパをお寄せいただいております。いつもありがとうございます。大切に使わせていただきます。
会費は年額1口500円です。カンパもよろしく。
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天海訴訟は、全国の65歳を迎える障害者共通の問題
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支援する会ニュースNo.19 天海訴訟を支援する会ニュース19号テキスト版
2018.10.17発行
P1、P2
第17回口頭弁論
「問答無用の打ち切り」は
法7条の趣旨、厚労省の通知にも反する
第17回目の口頭弁論は10月2日に行われました。
いつものように、「きぼーる」前での宣伝行動と裁判所までの行進を行いました。
裁判には30人の傍聴がありました。ぶり返しの暑さの中、ありがとうございました。
埼玉、東京から、県内から、いつも応援に駆けつけていただいている方々のほか、今回初めて大田区から来ていただいた方もいました。この方は重度の障害があり電動車椅子を使用していますが「知人から天海訴訟のことを聞き、自分も65歳から2年間介護保険申請を拒否している。付き添い人とともに傍聴に来た」とのことです。支援の新しい広がりに嬉しく思いました。
裁判では、原告から「岡山地裁判決が示した判断基準は正しく、天海さんへの処分は違法」と主張する書面を提出しました。天海さんに対し、「問答無用」とばかりに障害福祉を打ち切ったことは、障害者総合支援法第7条の趣旨、解釈に違反し、厚労省の通知にも反するものです。
また天海さんへの処分を下した市長、課長、担当者3名の証人尋問を要求しました。尋問の目的は、天海さんへの障害福祉停止処分当時の千葉市側の認識・見解を確認し、厚労省課長通知・介護保険移行問題への全国的な対応傾向を無視し、障害者の意思決定及び生活・生存の維持を軽視して行われた違法な処分であることを明らかにすることです。
尋問の申し出に対し、被告・千葉市は検討して回答すると答えました。
閉廷後の報告集会は県弁護士会館で行われました。
八田代表は「傍聴者が増えてきてよかった。証人尋問請求までこぎつけた」と挨拶、向後弁護団長からは「本日は書面を2通提出した。一つは岡山の判決が正しいことを主張。二つ目は当時の千葉市の担当者、課長、市長への証人尋問が必要なことを説明するもの。証人申請のあと、市側が尋問を受けるか否かを表明、最後に裁判所が証人採用の可否を判断する手順となる」と説明がありました。
意見交換では、「天海さんへの障害福祉給付却下の決裁をしたのが誰かが一つのポイントではないか」
「障害者の生活を支援すべき市が、福祉給付を打ち切ることはできないはずだ。都内のある区の担当者も『打ち切りはありえない、打ち切りの法的根拠はない』と語っている」との情報も。
また「千葉市は障害者の生活実態をつかんでいない」との意見も複数ありました。
「市の立場はどちらなのか、障害者の生活を保障しようという立場か、その反対なのか」
別の参加者からは「天海さんは、物言う障害者、としてこれからも頑張ってほしい」との励ましの声もありました。
原告の天海さんは「裁判が進行し、面白くなってきた。皆さんの支援で勝訴したい」と語り、最後に齋藤副代表が「裁判も回を重ね、わかりやすくなった。気持ちよく、すっきりした気持ちで帰宅できる」と挨拶しました。
次回18回目の口頭弁論は、12月18日(火)午後2時開廷と決まりました。今回以上の多くの方々のご支援をお願いいたします。
<次回:第18回口頭弁論>
12月18日(火)14:00開廷
12:30から きぼーる 前で街頭宣伝 裁判所まで行進
閉廷後、県弁護士会館で報告集会の予定
P3
天海訴訟の現段階とその意義
天海訴訟を支援する会 代表 八田英之
天海正克さんが、千葉市を相手取って、2015年11月27日に訴訟を起こしてから2年が経過し、訴訟は大詰めを迎えています。
この訴訟は、第一に、障害者が住民税非課税者の場合、65才までは障害者福祉制度の適用を受け、利用料の負担がなかったものが、65才になると介護保険の利用を優先され、天海さんの場合、8万円ほどの年金収入の中から1万5千円もの負担をしなければならない。これは、障害者の生存権を脅かす不当なものであり、障害者を合理的な理由なく年齢によって差別するものであり、憲法25条・14条に違反する。
第二に、千葉市はその他の多くの自治体と異なり、天海さんが介護保険の利用申請を行わなかった際に、障害者福祉の給付を一方的に打ち切り、結果天海さんは、介護に要する費用の全額を自己負担せざるを得なくなり、到底それを続けることはできず、やむなく介護保険の利用申請を行った。こうした強制的な行政処分は、許されない。
以上の二点を主な原告主張としています。同趣旨の訴訟として、この3月に判決が予定されている、岡山県の浅田訴訟があります。
被告の千葉市は、第一の論点については、国の言い分そのままに、「社会保障は、自助・共助・公助の順に適用されるのが原則」としていますが、2006年以前には、国も社会保険を公助の範疇に含めていました。ようするに、「国がその順番で適用するようにと言っているから」という主張にすぎず、原告の憲法違反であるという主張には、ほとんどこたえていません。原告は、金沢大学名誉教授の井上英夫先生の意見書を提出して、この点での主張を強く打ち出そうとしています。
第二の論点についても、被告側の主張は、まとめて言えば「法律に定められた通りにやっている」というにすぎません。障害者の人間としての発達のために、障害者に寄り添って社会サービスを保障するという、今日的な障害者福祉行政に欠くことのできない視点は見られません。
「社会保障レボルーション いのちの砦・社会保障裁判」(高菅出版)という昨年9月にでた本があります。朝日訴訟以来の社会保障裁判の内容とその社会的影響について、訴訟を起こした当事者・運動家・弁護士・学者がそれぞれに執筆しています。
これを読むと、生存権保障を実現するためのたたかいとして起こされた多くの訴訟が、たとえ、形の上で裁判では原告敗訴となっても、その訴訟は、国の法律や行政の在り方に多大な影響を及ぼしてきたことがわかります。
天海訴訟は、国の歪んだ社会保障行政を変えていくたたかいです。皆様のさらなるご支援を心からお願いします。
<障千連ニュース2018/4/6から転載>
P4
介護保険移行者に負担軽減策実施
天海訴訟が提起した「65歳問題」一歩前進、 改善も必要
天海訴訟で原告の天海さんが主張していることの一つに、非課税世帯の場合、障害福祉では無料であった負担金が、介護保険になると毎月1万5千円が必要になるということがあります。1級月8万円ほどの障害基礎年金では、大きな出費となります。
当初、介護保険同様1割の応益負担であった障害福祉も各地で裁判や請願署名運動などが広がり、国も低所得の障害者が利用料を支払うことには無理があることを認め、今は無料になっています。
障害に加齢が加われば、生活はいっそう大変になりますが、65歳になり新たな負担が強いられては生活は成り立ちません。社会参加する経済的余裕はなくなってしまいます。
65歳になり、新たな負担が強いられることの不合理、理不尽を訴える声は岡山の浅田訴訟、千葉の天海訴訟にとどまらず全国各地の障害者、障害者団体から湧き起っています。厚労省への要請行動もたびたびおこなわれています。浅田訴訟では全面的な勝利判決が下されました。
このような裁判や運動が進む中で、厚労省は障害者総合支援法の一部改正を行い、2018年4月1日施行で、「高齢障害者負担軽減策」を導入しました。これは、天海さんのように障害福祉を長く利用してきた障害者が65歳になり介護保険へ移行した場合に、その負担金(非課税世帯で1万5千円)を償還払いで補てんしようというものです。
「65歳問題」の是正のため、法が改正され新しい軽減策ができたことは、全国の障害者にとって大きな一歩前進です。裁判を起こした甲斐があったとも言えます。
ただし、これをもって「介護保険優先制度」が是正される方向にある、というわけではありません。
また、適用が極めて限定されていることもあり、この軽減策で救われない障害者も多数あることが予想されています。
軽減策の対象条件
1.介護保険相当障害福祉サービスを原則5年支給決定されていたこと
*介護保険相当障害福祉サービス…居宅介護(ホームヘルプ)・重度訪問介護・生活介護(デイサービス)・短期入所(ショートステイ)。
の3種に限定。
2.市町村民税非課税世帯または生活保護受給者
3.障害支援区分2以上
4.65歳に達するまでに介護保険給付を受けていないこと(第二号で特定疾患により要介護者等になった者は対象外)
5.介護保険に移行後、要介護1以上であること
社会保障推進千葉県協議会がこの制度について県内市町村を調査したところでは、「対象者に個別で連絡」「市政だより・ホームページに掲載」「検討中」「何もしない」など対応がバラバラです。対象者は絞られているのですから、個別に連絡をすべきです。
この制度については「介護保険優先を固定化するもの」で注意が必要、との声もあります。
「介護保険優先制度」をなくしていく取り組み、軽減策の対象を拡大してく取り組みも今後合わせて必要です。(三橋 恒夫)
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支援する会ニュースNo.18 天海訴訟を支援する会ニュース18号テキスト版
2018.09.19 発行
第16回口頭弁論
「給付の途絶」に陥ることを,被告はどう認識していたのか・・・証人尋問を請求
7月24日に第16回口頭弁論が行われました。
今回は原告側から、
1 証人尋問の請求
2.原告の日常生活の現状の陳述
が行われました。
原告側から千葉市長以下千葉市の福祉担当者への証人尋問を請求しました。被告側からは特段の反応はなく、今後具体的な証人要求を見て、対応すると答えました。
原告側からは原告本人のほか、原告の状況をよく知る人、制度について専門知識のある人などを立てたいとの弁護団の方針です。(P3参照)
原告陳述(P2参照)で、天海さんはヘルパーがいなければ日常生活が送れないこと、社会活動にも参加できなくなることを具体的に述べ、千葉市がヘルパー派遣を打ち切ったことは生存を脅かすことだと主張しました。
今回の傍聴には猛暑を押して、50人近い大勢の方々に詰めかけていただきました。ここの所、傍聴者の数が減り気味であったため、八田代表に檄文を書いていただき、ニュースやチラシで傍聴支援を呼びかけました。また労組事務所や団体など、常勤者のいる事務所を直接訪問するなどの取り組みも行い、それらの成果が出たものと感じています。
報告集会は約40人が参加し、質問や意見が相次ぎました。「傍聴人が多かったせいか、いつもより裁判長の声が大きかった」という感想もありました。今後も傍聴人増加に力を入れたいと思います。
なお、今回は熱中症対策として、頭宣伝は行いませんでした。
前回裁判所へ申し入れた、車いす傍聴席の増加要望に対し、「裁判長から許可が出なかった」と書記官から伝えられました。裁判は憲法第82条により公開が原則です。傍聴席に余裕があるのに車いすを4席に制限することは裁判の公開を実質的に狭めることになり問題です。この件はさらに検討し、再度要求したいと考えます。
<次回:第17回口頭弁論>
10月2日(火)
14:00開廷
12:30~ きぼーる 前で街頭宣伝 裁判所まで行進
閉廷後、県弁護士会館で報告集会の予定
P2-P4
浅田訴訟の岡山地裁 勝利判決を みんなのものに!
障全協(障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)主催の「65歳問題懇談会」が7月30日に岡山市で行われました。2回目の集まりです。
天海訴訟、岡山の浅田訴訟、愛知の舟橋・上田支援する会、障全協の関係者が集まり、千葉からは天海原告、向後弁護団長、支援する会矢崎さん3人が参加し、天海訴訟の現況を報告しました。
愛知の上田さんは、「2015年11月から2箇月おきに自立支援給付の更新申請を行い、介護保険の利用勧奨については「利用しません」と言っています。65歳問題のスタートは役所の窓口で「介護保険は利用しません」と宣言することから始まります。障害福祉サービスを利用するかぎり継続申請が求められ、息の長い取り組みが必要」と話しました。
意見交換の最後に、障全協白沢事務局長から「障害者支援法第7条の廃止と介護保険制度の抜本的な解決を実現させることなしに、65歳問題は解決できない。運動の具体化を目指したい」との締めくくりの発言がありました。
控訴審1回で結審
判決は12月13日
岡山・浅田訴訟
全面的な勝利判決となった浅田訴訟は、被告の岡山市が控訴し広島高裁岡山支部で控訴審が始まりました。
第1回口頭弁論は9月11日に開かれ、浅田さんと弁護団長が陳述しました。市側からは陳述はなく、裁判長から12月13日に判決言い渡す旨発言がありました。
報告集会で、浅田さんの弁護人から「地裁判決を覆す場合、裁判長から新たな資料提出を求められたり、釈明を求められたり、更には公判も2回3回とあるものだが、今回はなにも求められていないのでたぶん勝ったと思う」と説明がありました。
浅田さんの全面勝利岡山地裁判決が高裁でどのように判断されるのか、関心が高まっています。
第16回口頭弁論
原告 陳述書
1 はじめに
私は、この裁判の原告です。私の一日の生活や、その際、どんな支援を受けているかについてお話し致します。
2 一週間の流れ
私は、月曜日から土曜日までは、ヘルパーさんに午前中に自宅に来てもらい、2・3時間程度、生活支援をしてもらっています。また、火曜日と木曜日は、ヘルパーさんが帰った後の午前中の時間帯に、理学療法士や作業療法士の方に自宅に来てもらい、1時間程度、健康観察や動作練習をしてもらっています。
3 午前中について
私は、朝6時頃起床します。自分でベッドから室内用の車椅子に移乗して、トイレに行きます。トイレでは、手すりにつかまって自分で立ち上がり、便器に座り、用をたします。
ヘルパーさんが来たらすぐに入浴できるように、前日にヘルパーさんが栓をしてくれている浴槽に、ボタンを押してお湯を張り、ヘルパーさんが来る30分前には、玄関の鍵を開けておき、新聞やテレビを観て過ごします。
月曜日は7時50分、土曜日は8時、その他の曜日には8時半に、ヘルパーさんが来てくれます。
ヘルパーさんには、まず窓を開けて換気をしてもらった後、入浴の準備をしてもらいます。
私が車椅子で浴室の前まで移動し、手すりにつかまって立っている間に、服を脱がせてもらいます。自分で風呂椅子に座り、浴槽の上に掛けた板に座り、浴槽に入りますが、最後の浴槽に入る部分は、ヘルパーさんに支えてもらわなければ出来ません。
10分間、湯に浸かった後、ヘルパーさんを呼んで、抱えてもらいながら浴槽を出て風呂椅子に座り、髪や体を洗ってもらいます。下半身は、スポンジを使って自分で洗いますが、その他の部分はヘルパーさんに洗ってもらいます。
髪や体を洗い終わった後、再度、支えてもらいながら浴槽に入り、10分間、湯に浸かります。合計20分間浸かった後、ヘルパーさんを呼んで湯船を出て、浴室前の手すりにつかまって立っている間に、ヘルパーさんに体を拭いてもらい、車椅子に座って、しばらくは体を冷まします。
ヘルパーさんは、私が湯船に浸かっている間や、風呂を出て私が体を冷ましている間に、朝食の用意をしてくれています。私は、鍋・やかんを持つことや、ガスコンロを点火すること、電子レンジを使うことができないため、自炊をすることは出来ません。
風呂から出て体を冷ました後、ヘルパーさんに服を着せてもらい、用意してもらった朝食を食べます。食事については、箸を持つことはできませんが、フォーク等を用意してもらえれば、ヘルパーさんの介助を受けずに、自分で食べることができます。
私が食事をとっている間に、ヘルパーさんは、掃除、ゴミ出し、洗濯、ベッドメイク、浴室の後片付け等を行ってくれます。
食事が終わった後は、常用している痛み止めやビタミン剤をヘルパーさんに用意してもらい、皮膚科で処方されている塗り薬を手足に塗ってもらいます。また、ヘルパーさんに、歯磨きをしてもらい、髪をワックスで固めてもらい、髪を立たせています。髭剃りについては、自分で電気カミソリをあてます。
金曜日は、ヘルパーさんが8時半から12時まで居てくれることになっているので、毎日の食事を作ってもらうための食材を買いに行ってもらいます。土曜日に来るヘルパーさんに、金曜に買ってきた食材を小分けにして保存してもらいます。
火曜日と木曜日は、ヘルパーさんが帰った後、理学療法士や作業療法士の方に来てもらい、手足の拘縮を防ぐため、マッサージをしてもらいます。また、筋力を維持するため、車椅子に荷物を載せて押して歩く練習や、ゴムを引っ張る等の運動を手伝ってもらっています。
整形外科と皮膚科には、月1回程度、自分で車椅子に乗って通っていますが、以前から通っていた歯科医院は、車椅子が入れないので、家まで往(P3へ)診してもらっています。
4 午後について
ヘルパーさんやセラピストさんらが午前中いっぱいで帰った後、午後1時か2時頃、私はほほ毎日、玄関で外出用の電動車椅子に乗り換えて、事務所に向かいます。靴は自分で履くことができます。
私は、自操用の電動車椅子を、ジョイスティックレバーを使って操作することが出来ますが、段差等で転倒してしまうことがあります。一度転倒してしまうと、自力で起き上がることができないため、誰かに助けてもらうまで、身動きができません。
家から電動車椅子で、最寄り駅までは、10分くらいで着くのですが、電車に乗るまでは、かなり待たされることがあります。というのも、車椅子に乗っている私が電車に乗り降りをするためには、電車とホームの隙間にスロープ板を置くなど、駅員さんに介助してもらう必要があるからです。
私は、障害者の生活と権利を守る千葉県連絡協議会という団体の代表者をしており、幕張に事務所を借りて、日中は事務所で作業をし、会合等に参加することもあります。
私は、キーボードを打つことができるので、パソコン等を使って文書を作成することができます。
昼食は、パン等を買って食べることが多いのですが、パン屋では、店員に商品を取ってもらい、購入しています。飲み物は、取っ手があれば、自分で持って飲むことができます。
5 帰宅・就寝
出勤した日は、夜八時くらいまで事務所で働き、夕食を外食で済ませた後、電車に乗って帰宅します。ラッシュの時間はさけるようにしていることもあり、帰宅するのは夜10時半頃になります。
帰宅すると、自力で室内用の車椅子に移乗し、上着を脱ぎ、入れ歯を洗浄液に浸します。
その後は、テレビを観たり、タブレットパソコンでメールを確認したりした後、就寝します。ボタンを外すことができないので、上着を脱ぐくらいで、そのままベッドに入ります。
6 まとめ
現在の私は、移動と排泄については、車椅子や手すりを使うことで、何とか行っていますが、食事、更衣、入浴、整容その他については、ヘルパーさんの助けを受けなければ、成り立ちません。
一週間のうち、日曜日だけはヘルパーさんが来ませんが、月曜日から土曜日まで、週6日間、ヘルパーさんが来てくれることで、何とか自分の健康と生活が維持できています。
第16回口頭弁論での原告側主張の概要
原告準備書面11から引用
1 原告の生活状況
原告は,千葉市花見川区の自宅において一人暮らしをしているところ,四肢の障害のため,調理,洗濯,清掃,ゴミ出し等の家事のみならず,洗顔,歯磨き,入浴,着替え等にも介助が必要であり,平成16年以降は,日曜日を除く週6日,いずれも午前中にヘルパーの派遣を受けている(身体介護及び家事援助)。ヘルパーの助力なくしては,原告の生活は全く成り立たないのであり,平成26年8月1日付でなされた本件処分が,原告の生存を危機にさらすものであったことは明らかである。
2 人証の準備について
(1)被告は,平成29年7月18日付準備書面(6)において,「被告は,『原告による介護保険認定申請を平成26年7月末日まで待つこととし,その間は障害福祉給付の申請についての却下決定はしない。』との方針を定めていた。」との原告主張事実を認めながら,平成30年1月19日付準備書面(7)においては,「本件処分は意識的に8月1日を待って行われたものではない。」との主張をしている。原告としては,「原告による介護保険認定申請を平成26年7月末日まで待つこととし,その間は障害福祉給付の申請についての却下決定はしない。」との方針がいかなる経緯により決定されたのか,上記の方針によって,原告が「給付の途絶」に陥ることにつき,被告がいかなる認識を有していたのか,上記方針を定めつつ,「本件処分は意識的に8月1日を待って行われたものではない。」とはいかなる意味であるか等につき,被告担当課職員に対する尋問を行いたいと考えており,その準備のため,本件の事実経過を記した被告担当課職員の陳述書の証拠提出を求める。
(2)被告は,「原告が主張する(P4へ) 『満65歳に達する以前から障害を負い,その障害を原因として,自立支援給付を受けていた障害者が,同一の障害につき,同一の給付を介護保険から受けるに伴い,新たに利用者自己負担が発生する場合に法第7条を適用しない』という処分を求めることは,法に基づいて本件処分を行った被告に対し,法に基づかない独自の解釈による処分を求めることにほからならず, 不可能を強いるものである。」旨主張しており,被告の主張は,上記を核とするものと考えられる。しかしながら,「介護保険法に基づく要介護認定等の申請勧奨に応じないまま65歳到達後も継続して障害福祉サービスの利用申請があった場合」につき,「法第7条に基づき,当該障害福祉サービスの利用申請を却下する。」との対応をする自治体が,極めて少数である事実は,本件においてすでに明らかとなっており,上記「介護保険法に基づく要介護認定等の申請勧奨に応じないまま65歳到達後も継続して障害福祉サービスの利用申請があった場合」につき,「障害福祉サービスの受給決定をする。」ことは,少なくとも「不可能」とは言えず,また,厚生労働省により,これが否定されているとの事実も存しない。他の多くの自治体においてなされている,満65歳に達する前から障害福祉給付を受けていた障害者に対する,満65歳到達後の障害福祉給付の受給決定が,なにゆえ千葉市においてはなされなかったのかという本件の根幹につき,原告としては,処分行政庁である千葉市長,あるいは,被告担当課職員のいずれかの尋問を行い,公開法廷において,問いたい。
<次回:第17回口頭弁論>
10月2日(火)
14:00開廷
12:30~ きぼーる 前で街頭宣伝 裁判所まで行進
閉廷後、県弁護士会館で報告集会の予定
会費・カンパのお願い
多くの皆様から会費、カンパをお寄せいただいております。いつもありがとうございます。大切に使わせていただきます。
会費は年額1口500円です。カンパもよろしく。
振込口座
ゆうちょ銀行の振替口座を開設いたしました。
今後はこの口座へお振込みください。
〒振替 00260-0-87731
「天海訴訟を支援する会」
通信欄に「会費」「カンパ」等ご記入ください
メーリングリスト参加のお願い
メールをお使いの方は、天海訴訟を支援する会のメーリングリストにぜひご参加ください。
ニュース配布、連絡、意見交換などに有用です。
mitsuhashi.t@jf6.so-net.ne.jp
あてメールしてください。
◎ご投稿をお待ちします。
天海訴訟を支援する会
262-0032 千葉市花見川区幕張町5-417-222
グリーンハイツ109 障千連内
TEL・FAX 043-308-6621
http://amagai65.iinaa.net/
支援する会ニュースNo.16 天海訴訟を支援する会ニュース16号テキスト版
2018.06.27 発行
P1
第15回口頭弁論
「“給付の途絶”は原告天海さん自らの選択」との被告の責任逃れは許されない!
<第16回口頭弁論>
7月24日(火) 14:00開廷
皆様の傍聴を
5月18日、第15回口頭弁論が行われました。今回は原告が提出した準備書面に対する被告千葉市の弁明がなされました。千葉市は「岡山の浅田訴訟の全面勝訴判決は妥当ではない」と反論。また「介護をよくする会と千葉市の懇談の場が天海さんへの「個別の案内」には当たらないことは一般論としては認めるが、質疑応答は「個別の案内」に当たる」と強弁しました。このような非常識は通用しません。
また被告千葉市は「給付の途絶」が生じ、天海さんの生活が窮地におちいったのは原告自らの選択であり、「千葉市がそのような状況に陥らせたのではない」と責任逃れの態度を取り続けています。
被告のいずれの弁明も世間を納得させるものではありません。
天海訴訟の意見書を作成中の井上英夫金沢大学名誉教授も傍聴し、報告集会では「人間の尊厳。自己決定。平等の原則を柱として憲法論、条約論を展開したい」と熱く語っていただきました。向後弁護団長から、次回は天海さんの生活状況を提示したい、との方針が示されました。
次回第16回口頭弁論は、7月24日(火)午後2時開廷ですが、12時30分から「きぼーる」前で街頭宣伝を行います。宣伝、傍聴に大勢のご支援をお願いいたします。
12:30 「きぼーる」前で街頭宣伝
裁判所まで行進
13:20頃 傍聴整理券配布
14:00 開廷
閉廷後、弁護士会館で報告集会の予定
P2
もっともっと多くの人に傍聴を!
天海訴訟を支援する会代表 八田英之
天海裁判は、大詰めを迎えています。次回の公判では、天海さんの生活実態を明らかにし、千葉市の行った障害者給付の打ち切りと介護保険への移行の強制がいかに過酷なものであるかを書面によって明らかにします。井上英夫金沢大学名誉教授の意見書も出来上がってくると思われます。天海さんとほとんど同じ内容の訴訟であった岡山県の浅田訴訟は、三月に勝利判決を獲得しました。
この現局面で気になることがあります。それは、傍聴者がふえていないことです。
確かに、公判そのものは十分もかからずに終わってしまい、それだけでは何が何だかわかりません。テレビで見るような華々しいやり取りもありません。
しかし、傍聴者の数が裁判に与える影響は、極めて大きなものなのです。それは、その裁判に対する社会的な関心のバロメーターなのです。傍聴人が多い裁判では、裁判官には、よく考え、説得力のある判決を書こうという意識が生まれざるを得ないと思います。傍聴人が少ない裁判なら、裁判官が通り一遍の事務的な判決を書くこともないとは言えません。
今回のような国民の生存権保障にかかわる裁判に社会的関心が低いということは、本来あり得ないことだと思います。実際、裁判の始まる前の街頭宣伝でも、耳を傾け、ビラを受け取る人は、通例の宣伝行動に比べて、大変多く感じます。
公判そのものは、あっという間に終わってしまっても、そのあとで報告集会が開かれ、弁護団からその公判で、原告が何を主張し、被告の市が何と答えたのか説明があります。参加者から、地域で起こっている関係する問題や、裁判での論点に関わる討論も行われています。
傍聴に参加することで、最もリアルタイムで生存権保障の闘いの到達点がわかります。
浅田訴訟に続く天海訴訟の勝利判決を勝ち取るために、「もっと、もっと多くの傍聴を!」
皆様の一層の取り組みの強化をお願いいたします。
会費・カンパのお願い
多くの皆様から会費、カンパをお寄せいただいております。いつもありがとうございます。大切に使わせていただきます。
会費は年額1口500円です。カンパもよろしく。
振込口座
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「天海訴訟を支援する会」
通信欄に「会費」「カンパ」等ご記入ください
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メールをお使いの方は、天海訴訟を支援する会のメーリングリストにぜひご参加ください。
ニュース配布、連絡、意見交換などに有用です。
mitsuhashi.t@jf6.so-net.ne.jp
あてメールしてください。
◎ご投稿をお待ちします。
天海訴訟を支援する会
262-0032 千葉市花見川区幕張町5-417-222
グリーンハイツ109 障千連内
TEL・FAX 043-308-6621
http://amagai65.iinaa.net/
天海訴訟は、全国の65歳を迎える障害者共通の問題
支援の輪を広げてください
この訴訟は全国の障害者共通の問題です。またこれまでに積み上げてきた障害者福祉制度の後退を食い止める裁判です。この訴訟に勝利するためには、世論の高まり、国民の皆さまのご協力が必要です。
支援する会ニュースNo.15
支援する会ニュースNo.14
天海訴訟を支援する会ニュース14号テキスト版
2018.03.21 発行
P1
第14回口頭弁論 4月10日(火) 14:30 開廷
皆様の傍聴を!
傍聴席を埋めることも裁判支援には欠かせない取り組みです。周りの方にも声かけをお願いいたします。いつもより30分遅い時刻です。
13:30 きぼーる前で宣伝行動
14:10 傍聴整理券配布
14:30 開廷
閉廷後、県弁護士会館で報告集会の予定
岡山 浅田訴訟 全面勝訴!
障害者を生活維持不可能な状態に陥れることは、
第7条の解釈・適用を誤る違法な処分と断罪
天海訴訟に、追い風
3月14日、岡山地方裁判所は、浅田達雄さんの訴えをほぼ全面的に認め、岡山市に対して、浅田さんが65歳時に申請した障害者福祉の却下処分を取り消すこと、従前と同様の時間数の介護を支給すること、精神的苦痛に対する慰謝料を支払うことを命じました。
浅田さんの裁判は、天海訴訟と同じ内容であり、非常に心強いものです。
加えて、今回の判決は、浅田さんの勝利とともに、介護保険問題に直面している、あるいは今後直面する全国の障害者の勝利です。
障害者総合支援法第7条「介護保険の優先」という悪しき条文があっても、訴訟や運動で跳ね返すことも可能であることを示すもので、大変大きな成果であると考えます。
判決は、
一定の条件下では「7条の『介護保険法の規定による介護給付(途中省略)であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるとき』には当たらないと解釈すべき」(すべてのケースが介護保険優先になるわけではない)
「浅田さんの支援法申請を却下した場合、浅田さんがその生活を維持することは不可能な状態に陥ることは明らかである」「岡山市長としては自立支援給付を決定したうえで、引き続き浅田さんの納得が得られるように説明を行うべきであった」「本件処分は7条の解釈・適用を誤った違法なもの」と断じています。
「浅田さん」をそのまま「天海さん」に読み替えることができます。天海訴訟においても、「給付の途絶」について被告千葉市を追及しています。
支援する会では、原告天海さん、武井弁護士、三橋の3名を判決傍聴に派遣しました。(三橋)
P2
岡山・浅田訴訟 判決要旨 (抜粋)
【主文】
1 岡山市長が原告に対してした介護給付費不支給決定を取り消す。
2 岡山市長は,原告に対し,原告が平成24年11月29日付けで岡山市長に対してした障害者自立支援法20条1項に基づく介護給付費の支給等の申請に対して,重度訪問介護の1か月当たりの支給量を96時間とする介護給付費支給決定をせよ。
3 被告は,原告に対し,107万5000円及びこれに対する平成25年2月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
【理由の要旨】
第1 事案の概要等 (略)
第2 当裁判所の判断
1 本件処分の取消しを求める訴えの利益及び本件申請に対する自立支援給付決定の義務付けを求める訴えの利益は失われないというべきである。
2 自立支援給付を受けていた者が,介護保険給付に係る申請を行わないまま,65歳到達後も継続して自立支援給付に係る申請をした場合において,当該利用者の生活状況や介護保険給付に係る申請を行わないままに自立支援給付に係る申請をするに至った経緯等を考慮し,他の利用者との公平の観点を加味してもなお自立支援給付を行わないことが不相当であるといえる場合には,自立支援法7条の「介護保険法の規定による介護給付〔途中省略〕であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受けることができるとき」には当たらないと解釈すべきものというべきである。
本件において,本件申請に対して不支給決定をした場合,原告がその生活を維持することは不可能な状態に陥ることは明らかであったというべきであることや,原告が自立支援給付の継続を希望し,本件処分に至るまでに介護保険給付に係る申請を行わなかったことには理由があるというべきであることからすれば,岡山市長としては,本件申請に対する自立支援給付決定をした上で,引き続き,原告の納得が得られるよう,介護保険給付に係る申請の勧奨及び具体的な説明を行うべきであったといわざるを得ず,本件処分は,自立支援法7条の解釈・適用を誤った違法なものというべきである。
3 原告は本件処分後に介護保険給付に係る申請を行っているところ,同申請は,違法というべき本件処分がなされたことから,原告としては,生活を維持するためにやむを得ず行ったものであり,原告の本意によるものではなく,納得の下に行ったものではなかったことは明らかであるというべきであるから,岡山市長としては,本件申請に対する自立支援給付決定をすべきである。
そして,岡山市長は,本件申請に対し,従前の支給決定と同様,1か月当たりの支給量を合計249時間とする自立支援給付決定をすべきであるといえるところ,本件処分後に,本件申請に関し,1か月当たりの支給量を153時間とする自立支援給付がなされているから,岡山市長は,本件申請に対し,1か月当たりの支給量を96時間とする自立支援給付決定をすべきであると認めるのが相当である。
4 本件処分は本件処分時において違法であり,違法な本件処分を行ったことについて,被告職員には過失があったと認められるところ,本件処分により,原告は,精神的苦痛に対する慰謝料等の合計107万5000円の損害を被ったことが認められる。
5 よって,原告の請求①並びに請求②のうち重度訪問介護の1か月当たりの支給量を96時間とする自立支援給付決定(介護給付費支給決定)の義務付けを求める部分及び請求③のうち107万5000円(及び附帯請求)の支払を求める部分については理由があるからこれらを認容し,原告のその余の請求には理由がないからこれらを棄却する。
P3
天海訴訟
原告と被告の主張
原告(天海さん)準備書面8の要点
1 被告アンケート回答(乙8)から
被告においても「要介護認定の申請をしないため」障害福祉サービスのみを利用している人が1名いる。また、被告は、アンケートに、利用者負担や支給されるサービスの量において、自立支援給付の方が利用者にとって有利な制度となっているため、介護保険優先の適用の考え方について利用者の理解を得ることが困難という意見を記載している。
このアンケートへの回答からも、①被告が、介護保険への移行を裁量的に扱っていることや、②被告において、介護保険への移行が必ずしも円満・円滑に行われていないことは明らかである。
2 原告とのやり取りについて
被告は、平成25年12月11日や平成26年1月20日にも、原告に対し、介護保険優先について案内をしたというのであれば、誰がどのような案内をしたかについて、記録とともに明らかにされたい。本件処分後における原告への対応についても、同様に、誰が、どのような情報提供等をしたかについて、記録とともに明らかにされたい。
また、平成26年6月5日から7月8日までの被告と原告とのやり取りの内容を尋問によって明らかにする必要があるので、被告は、「佐藤氏」の所属部署名、氏名を明らかにされたい。
3 本件処分の違法性について
「介護保険の申請勧奨」は、障害福祉給付申請却下処分後にも行うことができ、かつ、行うべきものである。ところが、被告は、原告に対する「介護保険の申請勧奨」を「障害福祉給付の支給決定期間の終期まで継続する」との不合理な方針により、本件処分を平成26年8月1日まで遅滞させた。その一方で、被告は、原告に対し、介護保険への移行を拒む原告の考えを踏まえた上で「給付の途絶」を避けるべく、適切な指導・助言を行わなかった。そして、被告は、「給付の途絶」をもたらす本件処分を断行した。このような被告による法7条の運用は、裁量の範囲を逸脱した違法なものというほかない。
被告(千葉市)準備書面(7)の要点
第1 被告の主張及び本準備書面について
原告の主張する手続上の作為義務(原告の希望・状態に照らし、早期に障害福祉給付の申請を促す等)は、法令の根拠を欠く独自の見解であり、理由がない。原告が求める証人尋問は、その事実の存否が本件処分を取り消す理由にならない以上、実施する必要が無いと考える。
第2 原告準備書面8についての認否及び釈明
1 アンケートについて
「要介護認定の申請をしないため障害福祉サービスのみを利用している1名」 ⇒ 介護保険サービスでは必要な支援を受けられない人である
「利用者からの理解を得ることが困難」 ⇒ 原告を念頭に置いたもので、他に争いになった例はない
2 案内について
(1)H25.12.11(9)口頭案内 ⇒ 職員特定不能
(2)H26.1.20質疑応答 ⇒ 本庁障害企画課主査(当時)薄田寛
(3)H26.6.5電話 ⇒ 花見川保健福祉センター高齢障害支援課佐藤素子
原告はH26.7.8申請実行 当電話やりとりは処分取消理由に影響しない
(4)処分後の対応 ⇒ 障害支援係長(当時)入野敏明
本件処分後のやりとりは、処分取消理由に影響しない
3 その他
被告は、原告がサービスを継続して受給できるよう、介護保険申請勧奨をしていた。原告の障害福祉給付申請を妨げるような対応は一切していない。
P4
13回口頭弁論
千葉市は団体行事での介護保険解説を「原告に対する説明」と強弁
2月6日、天海訴訟の第13回口頭弁論が千葉地裁で行われました。
今回は、前回に原告天海さん側から投げかけた主張に対する、被告千葉市側からの答弁、反論が行われました。原告の「介護サービス給付を途絶(中断)させた市の処分は、総合支援法7条の運用としては裁量の範囲を逸脱した違法なもの」との主張に対し、被告は「千葉市は原告がサービスを継続して受給できるよう、介護保険の申請勧奨をしていた」と問題点をあえて外したような答弁でした。
また、原告側の「介護保険移行についての適切な指導・助言を行わなかった」との主張に対し、被告千葉市は「『介護をよくする会』とのやり取りの中で介護保険の説明をした。その会の代表は原告なので、説明をしたことになる」と一般論と個別論を混同させた常識では考えられない弁明をしています。
閉廷後、県弁護士会館で報告集会が開かれました。「井上論文に期待したい」「岡山浅田判決も参考にして訴訟を進めたい」「福祉の裁判は政策を実現させるための戦いだ」などの発言が相次ぎました。また今回初めて傍聴した方、毎回東京から傍聴に駆けつけてくれる方からの発言もありました。
次回は、4月10日(火)14:30開廷です。裁判は山場を迎えています。多くの県民に裁判を知ってもらうこと、傍聴人を増やしていくことを呼び掛けます。
浅田訴訟 判決を傍聴して
天海訴訟 原告 天海 正克
ぎっしりと埋まった岡山地裁の100号法廷に原告の浅田さんと弁護士の方々、そして全国の支援者が固唾をのむ。ところが被告席には岡山市の職員も弁護士も一人もいない。
3月14日14時、裁判長が判決文を読み上げ2・3分で終わる。
裁判官が立ち去り弁護士が「勝ちました」と声を上げ拍手と歓声がわきあがる。
支援する会の吉田代表の「勝った勝った」との叫び声に全員で喜び合う。
浅田さんの命をかけた訴えに裁判官は岡山市の非を認めたのだ。
天海訴訟もこれに習い正義の判決を引き出したい。憲法や権利条約に違反している千葉市の非を認めさせたい。
そして障害者総合支援法7条の介護保険優先原則を撤廃させたい。
会費・カンパのお願い
前号で振込用紙を同封したところ、多くの皆様から会費、カンパをお寄せいただきました。ありがとうございました。大切に使わせていただきます。
前号に同封できなかった方に、振込用紙を同封いたしました。ご協力お願いいたします。(万一、重複してしまった場合はご容赦ください)
会費は年額1口500円です。新年となりましたので会費の納入をお願いいたします。カンパもよろしく。振込先は下記。
振込口座・新規開設
ゆうちょ銀行の振替口座を新規開設いたしました。今後はこの口座へお振込みください。
〒振替 00260-0-87731
「天海訴訟を支援する会」
通信欄に「会費」「カンパ」等ご記入ください
メーリングリスト参加のお願い
メールをお使いの方は、天海訴訟を支援する会のメーリングリストにぜひご参加ください。
ニュース配布、連絡、意見交換などに有用です。
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天海訴訟を支援する会
262-0032 千葉市花見川区幕張町5-417-222
グリーンハイツ109 障千連内
TEL・FAX 043-308-6621
http://amagai65.iinaa.net/
会費・カンパ金振込先
〒振替 00180-6-27389 障千連
通信欄に「天海訴訟」と書いてください
カンパのお願い
裁判には費用がかかります。支援活動にも経費が必要です。皆さまのご協力をお願いいたします。
天海訴訟は、全国の65歳を迎える障害者共通の問題
支援の輪を広げてください
この訴訟は全国の障害者共通の問題です。またこれまでに積み上げてきた障害者福祉制度の後退を食い止める裁判です。この訴訟に勝利するためには、世論の高まり、国民の皆さまのご協力が必要です。
支援する会ニュースNo.13
支援する会ニュースNo.12
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<写真集>
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20151127訴状提出(裁判所前) |
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20160119第1回口頭弁論裁判所へ行進 |
20160119第1回口頭弁論報告集会 |
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20160308第2回口頭弁論へ行進 |
20160308第2回報告集会 |
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