天海訴訟を支援する会 ニュース 2026/10/1 No.58 「天海訴訟」の東京高裁 判決 12月11日金曜日14時と決まる。 最後まで、裁判所への要請行動で 勝訴をかちとろう 要請署名を引き続きお願いします。 2 障害者が必要な介護を受け、いきいきとくらしていける ように東京高等裁判所の公正な判断をお願いいたします 意見陳述 原告控訴人 天海正克 いよいよ生きるためのすべての介護を奪った千葉市の処分決定が、憲法25条の生存権や個人の自己決定尊重権等の基本的人権を奪っているという判決が下されると期待しています。 私は、平成26年7月13日に65歳になりました。 千葉市から「介護保険を申請するように」と2度ほど言われましたが「介護保険」は申請せず、社会参加の機会の確保を目的とする「障害者福祉」の更新を申請しました。 ところが千葉市は障害者福祉の申請更新を却下し、平成26年8月1日からそれまで受けていた月70時間の居宅介護サービスをすべて打ち切りました。 日常生活に介護が不可欠な重度の障害者が、全ての介護サービスを打ち切られ、まるで砂漠の真っただ中に放り出されてしまったような仕打ちを受け、さらに生活を維持するため全額自己負担で介護を受けると月14万の利用料がかかってしまいました。 地方自治体の職員はそこの住民の安全な生活の維持と、福祉の向上に努めることにあると思いますが、千葉市は障害者の生活を顧みず「行政の手続に協力しない障害者はこのような仕打ちは当然であり、千葉市から出ていけ」と言わんばかりの態度でした。 障害者権利条約や障害者総合支援法の規定にあるように、障害者がどこに住み、どんな生活を送るかは障害者自身が決定することです。私が問うているのは、介護保険への申請をしないことを理由に、障害者の日常生活に必要な福祉サービスをすべて打ち切ってよいのか。自治体が障害者の生存権を保障する義務を放棄してよいのかということです。 障害者が自立した社会参加を望むのであれば、65歳になったからといって、障害者 福祉給付を打ち切ることは許されないことだと思います。 先の東京高裁では、障害者権利条約や障害者総合支援法の理念に沿った判決でした。 また介護保険に移行すると、1割の利用料負担がかかってしまいます。 平成17年に障害者自立支援法が成立したとき、障害者福祉にも介護保険と同様に利用料負担が生じました。しかし全国の障害者や家族等が「なぜ食事や買い物・着替えなどに金がかかるの」「障害が重いほど利用料がかかる応益負担に反対」と運動が広がり、全国から障害者自立支援法違憲訴訟が起こされる中で、非課税世帯の障害者福祉の利用料は無料となり、現在の障害者総合支援法に改正されました。 しかし65歳で介護保険に移行することで利用料負担が復活してしまいます。働く機会がきわめて少ない障害者にとって、高齢になっての新たな負担は毎日の生活を脅かします。 介護保険から移行した障害者の自己負担をなくすため、2018年度から厚生労働省は新制度を創設し、介護保険ではなく障害者福祉の枠から予算化し負担をゼロにしました。 障害者が必要な介護を受け、いきいきとくらしていけるように東京高等裁判所の公正な判断をお願いいたします。 障害者が必要な介護を受け、いきいきとくらしていける ように東京高等裁判所の公正な判断をお願いいたします 3 法は、脆弱な立場に置かれている者を保護する役割を果たさなければならないが、それと同時に、力を与えるものでもなければならない 代理人意見陳述 控訴人代理人弁護士・社会福祉士・精神保健福祉士 坂本千花 この差し戻し審での一番のポイントは、この総合支援法七条のこの扱い?これが果たしてあの許されるかどうかと、あのこの扱いをどういうふうに解釈していけばいいのかというところです。 障害者総合支援法7条 「自立支援給付は、当該障害の状態につき、介護保険法の規定による介護給付、健康保険法の規定による療養の給付その他の法令に基づく給付又は事業であって政令で定めるもののうち自立支援給付に相当するものを受け、又は利用することができるときは政令で定める限度において、当該政令で定める給付又は事業以外の給付であって国又は地方公共団体の負担において自立支援給付に相当するものが行われたときはその限度において、行わない。」 訴訟の争点 障害者総合支援法7条に関する行政裁量の在り方 障害者総合支援法7条が、天海さんの申請に係る障害福祉サービスの量を「零(ゼロ)」とすることの法的根拠となり得るのか。 ⇓ 支給量を「零(ゼロ)」とすることが行政裁量の範囲内であるか。 支給量を「零(ゼロ)」にすることが許容されると、天海さんの生存権(憲法25条)を保障する職責を千葉市が果たさないことを正当化することと同様である。 行政裁量に対する司法審査の在り方 <行政裁量の適否の判断> 処分に伴う裁量権の性質に応じた司法審査が行われなければならない。 裁量権の性質に応じて、処分を行う行政庁に認められる裁量権の広狭が左右され得る。 ⇓ 当事者の基本的人権や重大な権利利益に関わるような行政の裁量的決定においては、裁判所の積極的な審査が求められる。考慮要素の選択や判断過程の合理性について深く審査する必要がある。 本件処分は天海さんの生存権を侵害する 本件では、平成26年8月1日~9月2日までの間、天海さんに対する介護給付費が一切支給されない空白の期間が生じた。 天海さんの生命を危うくする事態が生じている。 4 本件処分は、天海さんにとって極めて過酷な結果を生じさせるものであることも、司法審査の広狭に影響する。 障害者福祉行政に責任を負う千葉市人は、行政裁量の行使に当たり、天海さんにとって最も過酷な処分を避けるために、他の代替手段の余地も含めて、要考慮事項についての考慮を最大限尽くすことが求められていた。 本件処分の違法性 千葉市は、本件処分の際に、天海さんの要介護の程度について、おおよその見当をつけることが可能か否か、却下処分を避けるための代替え措置があるか否かという要考慮事項を全く考慮していない。 他方で、天海さんが要介護認定を受けていないという事実を殊更に重視し、そのために自立支援給付の支給量を算定できないとしている。 ⇓ 要考慮事項を全く考慮せず、又は、考慮に入れるべきでない事項を不当に過大に評価するものである。事実に対する評価が合理性を欠き、社会観念上著しく妥当性を欠く処分である。 結語 本件は、障害を抱え社会で脆弱な立場におかれている者の生存権に関わる事案である。 社会的強者同士が競い合うビジネス上の紛争とは性質が異なる。 ⇓ 憲法上保障されている重要な人権に関する処分の適否を判断する際には、裁判所は、社会的弱者の排除を防ぎ、個人の尊厳を尊重するような方法で関係法令を適用しなければならない。 法は、脆弱な立場に置かれている者を保護する役割を果たさなければならないが、それと同時に、力を与えるものでもなければならない(The law must protect, but it must also empower※)。 ※His Honour Judge Geoffrey Shannon SC.(2025.11.4,DUBLIN CIRCUIT) 5 生存権を確立していく戦いをさらに強く天海訴訟を支援する会 代表 八田英之 東京高裁の後半はこれで終わり12月11日に判決を言い渡すということが裁判長から告げられました。いよいよ最後であります。12月11日と申しますと、ちょうど11年ということになります。11年間の闘いの結果が今年にわかろうとしております。最後の最後まで東京高裁に対する最後の要請署名ぎりぎり、最後の取り組みを進めていきたいと思います。 この裁判、その口頭弁論で、弁護士さんから大変分かりやすく要約してお話していただきましたが、特にこの高裁の時点で問われていることは、行政が障害者の生存権を脅かすような形で、行政が自分の思っている方向、介護保険に移したいと思ってる方向に強制をすることが許されるのかということだろうと思います。これは決して障害者の人権の問題だけではありません。高齢者はコロナの時に施設に止め置かれるまともな医療が受けられないという事態がありました。今また生活保護では暮らせないという人たちが多くあります。 そして私どもが知ってる限りでも、保険に入ってるけれども、自己負担が心配で病院にかかれないという手遅れ受診という方が後を立ちません。今そこに共通するのは、国民の生きる権利を、国家が保障するということが貫かれていないという問題だと思っております。この天海裁判を通じて、国民の生存権、憲法の中で最も中心に位置づけられるべき生存権を確立していく闘いをさらに強く最後まで進めていきたいと思います。