天海訴訟を支援する会ニュース43号テキスト版 2023.03.01発行 P1 3月24日に判決 逆転勝訴で  障害者の生活と権利 尊厳を守ろう! 昨12月9日に天海訴訟の高等裁判所での審理は結審しました。いよいよ3月24日に判決が出ます。千葉地裁の不当判決をくつがえし、逆転勝訴を勝ち取ることを原告も支援する会も確信しています。 判決の裁判とその後の判決報告集会に多数の傍聴、ご参加をお願いいたします。すでに岡山浅田訴訟支援する会の代表、京都、名古屋からも傍聴に来ていただける旨の連絡をもらっています。また、これまで同様、報告集会はオンラインでも行いますので、ご利用ください。 車いす席増設を! 2月22日に天海原告と支援する会の纐纈、市橋各氏が東京高裁を訪問し、判決概要の作成を依頼しました。また車いす用傍聴席が現在6席と少ないので、その増設を申し入れましたが防災上の理由で断られました。車いす利用者も一有権者として傍聴できるように裁判所としての合理的配慮が必要ではないでしょうか。 はがき2,300枚届く 署名の追加250件分を提出しました。要請はがきは、2352枚届いているとのことでした。配布したはがき枚数の約半分程度です。目標に届いていません。まだはがきが残っている場合は至急投函してください。よろしくお願いいたします。 上告するなFAXを 勝訴の場合は、被告千葉市長あてに「上告するな」のFAX送信行動を実施します。数が多いほど力になりますので、皆さんのご協力をお願いいたします。 総括集会(仮)ご参加を いずれの判決であっても、判決の分析と問題点、今後の運動の課題を明らかにする必要があります。支援する会では「天海訴訟判決総括集会」(仮称)を開催する予定です。意見交流もしたいと思います。 判決 3/24(金) 東京高等裁判所 午後 1時 裁判所前で集会 2時30分 開廷 101号法廷(1階) 4時00分 報告集会: 会場  衆議院第2議員会館 (※ いつもと違う場所です) 詳細は8ページ P2 天海訴訟 上告についての検討のポイント 天海訴訟弁護団 弁護士 坂本千花 令和5年3月24日の天海訴訟の控訴審判決で、万が一、控訴棄却(天海さん敗訴)の判決が出た場合、最裁判所に上告するかどうかを検討することになります。 上告するかどうかを検討する上でのポイントを解説します。 まず、最裁への上告は、高等裁判所の判決に不服がある場合に常にできるというものではなく、上告ができる理由が民事訴訟法で限定されています。 最裁は、事実関係の判断の誤りについては再審理することはせず、あくまでも法律問題(特に憲法問題)だけを審理する役割を担う裁判所だからです。 俗に、地方裁判所・高等裁判所の審理を「事実審」といい、最裁判所での審理を「法律審」といいます。 最裁への上告は、「判決に憲法の解釈の誤りがあることその他憲法の違反があること」を理由とする場合にできるものです。 また、仮に「憲法違反」を理由とできない場合であっても、「原判決に最高裁判所の判例と相反する判断がある」又は「法令の解釈に関する重要な事項を含む」場合に、最裁は、事件を上告審として受理する場合もあります。 いずれにしても、地裁・高裁の「事実認定」の判断に誤りがあったことを理由としては、上告はできないことになります。 天海訴訟に照らして考えた場合、控訴が棄却された理由によって、上告するかどうかを分けて検討する必要があります。 控訴が棄却される理由としては、次の2つが想定されます。 @千葉市に障害者総合支援法の自立支援給付を継続して支給決定する裁量権があることを前提に、千葉市には裁量権の逸脱・濫用はなかったという理由で控訴棄却された場合 A障害者総合支援法7条によれば、そもそも千葉市には、障害者総合支援法の自立支援給付を継続して支給決定する裁量権がないのだから、千葉市の打ち切り判断は適法であるという理由で、控訴棄却された場合 @の理由で控訴棄却された場合、天海さんとしては、地裁・高裁の「事実認定」の判断に誤りがあったこと主張したいところではありますが、事実誤認を理由としては上告できないことになります。 Aの理由で控訴棄却された場合、障害者総合支援法7条の解釈が誤っているとして、「高裁の判断は、法令の解釈に関する重要な事項について誤りがある」という理由で上告受理の申立てが可能になります。 令和5年3月24日の判決で残念な結果が出た場合、控訴棄却の理由に照らして、上告の可否を検討することになります。 P3 天海訴訟の裁判を傍聴して思うこと 井口 佐代子 12月9日、東京高裁に行ってきました。  この裁判は見届けなければならないと思って、初めて参加しました。なぜかというと、私は元ケアマネなので「原則、介護保険優先」を覆すことは無理なのではないかと思い込んでいたのです。  この裁判に勝訴したら、65歳で介護保険に移行して,介護量が減ってしまった人が救われるのはよいことなのですが、現場は混乱するだろうし、介護保険のケアマネは障害者総合支援法をきちんと理解している人は少ないから、当事者に質問されても応えられないだろうし、行政はもっとわかっていないから、裁判官も理解していないだろうと期待していなかったからです。  しかし、だからといって、黙っていては何も始まらない、と気づきました。  高齢者は、病院にだけ行ければいいのですか? デイサービスとかショートステイしか、行くところがなくていいのですか? それでは生活しているとは言えません。生かされているだけです。  介護保険では人間らしい暮らしはできないのです。高齢者のサービスを障害者総合支援法に近づけなければならないと、元ケアマネの私は想います。  そのためには、福祉制度について、自分から勉強して、行政に立ち向かわなければ、と遅ればせながら感じています。  天海さん、考えるチャンスを与えて下さってありがとうございます。私も勉強して、伝えられることは伝えようと思います。(千葉県肢体障害者協議会(葉肢協)会員) 会費・カンパのお願い ニュース前号に振替用紙を同封し、ご協力のお願いをしたところ、多くの方から会費、寄付金をお寄せ頂きました。ありがとうございます。裁判費用、支援活動費用として大切に活用させていただきます。 東京高裁での審理は結審し、3/24に判決が言い渡されます。結果は予断を許しませんが、どちらになっても最高裁での戦いが続く可能性があります。引き続きご協力をお願いいたします。 振込先:〒振替 00260-0-87731 「天海訴訟を支援する会」 通信欄に「会費」「カンパ」等を、またメッセージなども一言あるとうれしいです。 振込用紙に記載されたメッセージを一部ご紹介します。 ◎東京高裁でのご健闘をお祈りします。(千葉:加) ◎高裁判決の逆転勝訴に向けて、浅田原告と共にガンバって岡山で声を出します。(岡山:吉) ◎勝利を信じて最後まで頑張りましょう!(神奈川:上) ◎天海さん、体をいたわりながらがんばってください!(千葉:中) ◎勝訴を祈っています(船橋:吉) ◎私たち弱者の生存権を勝ち取るため、ともに頑張ろう((野田:大) ◎大変な闘いだと思います。勝利するまで応援しますので負けないでください。カンパ送ります。頑張ってください(千葉:日) ◎集会には参加できませんが、応援しています。お体お大事に、頑張ってください。(市川:八) P4 該当する方は 介護保険利用料軽減制度を利用しましょう 「新高額障害者サービス等給付費」案内 住民税非課税世帯の障害者の人は障害者総合支援法の適用により、自宅内でのヘルパー介護や外出時の介助などの福祉サービスを活用しても利用料の負担はありません。ところが65歳になり介護保険法の適用になると介護保険利用料の負担が生じます。介護保険にも利用料の減額制度はありますが、住民税非課税世帯であっても毎月1万5千円が必要になります。  この経済的負担増は、障害年金を収入源としている障害者にとってはとても大きな痛手であり、いきおい外出費用を減らすなど、社会参加の機会を狭める一因になってしまいます。  天海さんがこの裁判で訴えたかったことの主要な項目の一つです。  この経済負担増加をなくしてほしいという声は多くの障害者の願いとなっています。障害者団体も声を上げています。また岡山の浅田達雄さんは裁判に訴え勝訴しました。この天海訴訟が2015年に提起されたこともあいまって、厚労省はついに重い腰を上げざるを得なくなり、2018年4月から「新高額障害者サービス等給付費」制度を発足させました。  これは、介護保険に移行後の利用料を償還払いという方法で軽減する制度です。しかしこの制度を利用するには厳しい条件(後記)が課されており今後制度の改善が必要ですが、厚労省が障害者の経済負担増加の厳しさに気づき、軽減策を講じたことは大きな一歩であり、天海訴訟提起がその追い風になったことは疑うべくもないことです。  もっとも、私たちの主張のとおり65歳になっても引き続き障害者福祉がそのまま適用されるのであれば、このような制度は不要なのですが。 障害者が一度負担した介護保険利用料を後日障害者福祉の予算で補うというなんとも不思議な制度ですが、負担の軽減になるのであれば一歩前進と言えるのではないでしょうか。  ところが、2022年4月18日の厚労省障害保健福祉関係主管課長会議資料によるとこの新しい制度を幅広く住民に周知している自治体は わずか10.6 %であり、案内状送付など、対象障害者に個別に対応しているところは32.6%にとどまっているとのことです。これではせっかくの制度を知らずに、手続きにたどり着けない方もいるのではないかと危惧されます。厚労省は自治体任せにせず、自らも情報提供の先頭たつべきです。 (三橋 恒夫) 記 新制度対象者の条件(すべてを満たすこと) 1.65 歳に達する日前5年間引き続き介護保険相当障害福祉サービスに係る支給決定を受けていたこと。 2.65 歳に達する日の前日において、かつ申請時に本人及び同一世帯に属する配偶者が「市町村民税非課税」であること。 3.65 歳に達する日の前日において障害支援区分2以上であったこと。 4.65歳まで介護保険サービスを利用してこなかったこと (上記資料による。但し例外その他細かい規定もあるので居住市町村にご確認ください) 天海訴訟判決総括集会(仮称) 2023年4月20日(木) 13:00〜16:00 衆議院第2議員会館 多目的ホール 判決の分析と問題点、今後の運動の課題を明らかにする 挨   拶       原告:天海正克 氏 判決内容分析報告 弁護団から 意見交流、他 オンライン配信も準備します (以上は予定。後日詳細お知らせします) P5〜P7 天海訴訟を改めて学び、考える 千葉地裁判決のポイントと課題 日本障害者センター 山崎光弘 (2021年6月27日の学習会資料) 省略 P8 天海訴訟判決路報告集会案内チラシ 天海訴訟  障害者の尊厳と人権は守られるか! 3月24日(金)東京高裁 判決 午後1時 裁判所前で集会 裁判前で訴えを行います。 2時30分開廷 判決 101号法廷(1階)  傍聴席は80席(コロナ制限ない場合)ですが、超えた場合は抽選になります。 コロナ感染には十分ご注意ください。 4時00分 判決報告集会:衆議院第2議員会館 第1会議室 コロナ感染拡大のため、報告集会はオンライン配信を基本とします。 報告集会の様子を中継します。手話通訳付き。 参加申し込みアドレス https://forms.gle/CjrBWXk1cK51wpXp9 傍聴された方は、一駅ですが地下鉄で移動します。会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。 弁護団から判決内容の報告、天海原告のあいさつ、支援者発言 などがあります。 (ニュース42号ここまで) メーリングリスト参加のお願い メールをお使いの方は、天海訴訟を支援する会のメーリングリストにぜひご参加ください。 ニュース配布、連絡、意見交換などに有用です。 ニュースに対するご感想、ご意見などお寄せください。 amagaisoshou@gmail.com あてにメールしてください。 ◎ご投稿をお待ちします。 天海訴訟を支援する会 262−0032 千葉市花見川区幕張町5-417-222 幕張グリーンハイツ109 障千連内 TEL・FAX  043−308−6621 http://amagai65.iinaa.net/ amagaisoshou@gmail.com 郵便振替 00260-0-87731 「天海訴訟を支援する会」 天海訴訟は、全国の65歳を迎える障害者共通の問題 支援の輪を広げてください この訴訟は全国の障害者共通の問題です。またこれまでに積み上げてきた障害者福祉制度の後退を食い止める裁判です。この訴訟に勝利するためには、世論の高まり、国民の皆さまのご協力が必要です。