天海訴訟 最高裁での口頭弁論に向けて! 総決起集会 2025年4月25日(金)参議院議員会館 「天海訴訟を支援する会」は、改めて、最高裁判所に対して「千葉市の2つの暴挙に対する平等・人権にもとづく公正な判決をもとめる」団体署名を始めました。天海訴訟は、2014年、介護サービスではなく、障害福祉サ―ビスの継続を求めた天海さんの尊厳・平等・人権をふみにじり、障害福祉サービスを打ち切った千葉市の対応を不服として、2015年11月千葉地裁に提訴したことに端を発します。 千葉市の暴挙はこれにとどまらず、住民の命や人権にかかわる障害福祉制度、介護保険制度を運営する立場にありながら、丁寧かつ慎重であるべき行政対応を怠たり、また地方自治体のあり方の根幹にかかわる障害者間の不均衡を回避しなかった責任を顧みず、2023年4月、東京高裁の判決を不服として上告受理申立てを行いました。 そして6月26日(木)午後3時より第一小法廷にて最高裁での口頭弁論が行なわれます。 つきましては、期日の口頭弁論ならびに署名活動の推進、そして最高裁での勝利に向けて、総決起集会を開催します。みなさまのご支援を心からお願いいたします。 2025年4月25日(金)午後3時~4時半  参議院議員会館 B107号   ●集会はオンライン配信・手話通訳あり 会館入り口で支援する会担当者から入館証を受け取ってください。 集会プログラム 1.開会挨拶 :八田英之氏(天海訴訟を支援する会 代表) 2.天海訴訟弁護団報告 報告者:向後弁護士 3.講演「介護保険の現状と障害者問題」 講師:門脇めぐみ氏(千葉県社保協介護部会) 4.質疑応答 5.行動提起  6.原告挨拶 7. 閉会挨拶 参議院議員会館  地下鉄有楽町・半蔵門・南北線「永田町」下車 1番出口(エレベータ有)よりすぐ または 地下鉄丸ノ内・千代田線「国会議事堂前」下車1番出口から徒歩5分 天海訴訟を支援する会 〒262-0032 千葉市花見川区幕張町5-417-222 幕張グリーンハイツ109 障千連内 TEL-FAX:043-308-6621 http://amagai65.iinaa.net/ amagaisoshou@gmail.com 東京事務所:〒102-0084  東京都千代田区二番町12-1 全国教育文化会館 エデュカス東京5階 日本障害者センター内 TEL:03-6261-4158 FAX:03-6261-4159 総決起集会・弁護団報告             弁護団:向 後  剛 1 上告受理 ⇒ 令和7年6月26日(木)午後3時から口頭弁論期日   (意味)原判決は維持されない。原判決の結論まで変わるかはわからない。 2 期日外釈明   本件処分は、総合支援法7条による調整を要するにもかかわらず、被上告人が要介護認定の申請をしないため、介護保険サービスの量及び不足する障害福祉サービスの支給量を算定することができないことなどを理由としてされたものであるところ、当事者双方は、上記②(原判決には裁量権に関する法令の解釈適用を誤った違法があり、判例違反がある)に関して、受けることができる介護給付のうち自立支援給付に相当するものの亮の算定の要否や可否に関する上告人の判断の当否という観点から、本件処分が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるといえるか否かについて、補足又は敷衍したい点があれば、5月22日までに書面により明らかにされたい。 3 回答 (1)算定の要否     給付量減は× → (給付量減にならいようにするために)算定必要 (2)算定の可否     概算は可能 例:ソフト計算で「要介護1なら身体介護34.5時間・生活援助23時間」 直前期:居宅介護月70時間(身体介護45時間、家事援助25時間)     最低でも居宅介護月12.5(身体介護10.5時間、家事援助2時間)は支給すべきであった。 (3)結論     本件処分は、「介護保険法の規定による介護給付を利用することができるときはその限度において給付を行わない。」という総合支援法7条に反して、その限度を超えて支給申請を却下した違法がある。 4 弁論(5月29日まで) 双方10分程度らしい (1)弁護団 上記3 + α ? (2)天海さん                                   天海裁判 最高裁での口頭弁論に向けて!総決起集会          2025.4.25 参議院議員会館 「介護保険の現状と障害者問題」 千葉県社保恊介護部会 社会福祉法人千葉勤労者福祉会 門脇めぐみ  天海さんはじめ、支援する会の皆さまに置かれましては、10年近くに及ぶ訴訟で大変な思いをされていることと思います。しかし、この問題を天海さん本人だけでなく、全国の障害者の皆様や福祉に関わる全ての人の代弁として取り組んでいることに、敬意を表しております。 昨年度、介護福祉士を目指している学生複数人を連れて、2回ほど天海さんのお宅を訪ねました。車いすであっても自立した生活が出来るように工夫された住まいの見学、毎日の占いを見てその日の洋服の色を決めていること、電動車椅子で自由に外出し外食や仕事をしていることなどを聞かせていただきました。施設実習しか経験のない学生は、自分らしく生きるを目の当たりにし、介護は個人の生き方を尊重し、支える役割であることを実感したようです。また、外に出て不自由なことは?という学生の質問に、駅にエレベーターをつけるように要望し実現したことを話してくださいました。障害を持った人が不便さや危険を感じることをそのままにせず、改善を要望することで、足の不自由な高齢者やベビーカーを利用している子育て中の人も快適に外出することが出来るようになっています。その様な障害者の皆様の運動の積み重ねから、今では誰もが安全で快適に過ごせるユニバーサルデザインが主流となっています。 長い障害福祉制度の歴史でも、差別がなく個人が尊重される社会の実現のために当事者自身が声を上げ、様々な権利を勝ち取ってきました。2006年の国連障害者権利条約での「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」というスローガンは、私が介護で利用者さんに携わるときも、意識している言葉です。ケアがないがしろにされ、制度に翻弄されている現状で、人権や尊厳が守られるよう先頭に立ちたたかっている天海さんから、声を上げることの重要さと勇気を頂いています。 【障害福祉と介護保険の違いについて】 介護保険制度の理念…加齢に伴う病気で介護を必要としている人が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、支援をする。(生活を支える) 障害福祉の理念…障害の有無に関係なく基本的人権を享有する個人として、社会的に分け隔てられることなく社会生活や日常生活を普通に営む事ができるように支援をすること。また、社会的障壁(日常生活・社会生活を営む上で妨げになるような事物・制度)の除去。(社会環境を整え人生を支える) 利用上限とサービス料金の自己負担  介護保険…介護度の支給限度額により異なる。超えた分は自己負担。応益負担。 障害福祉…利用者の意向聴取、障害支援区分、介護者の状況等を勘案のうえ、必要な時間数を積算し、支給量を決定。応能負担。 通院介助  算定可能共通要件…当該医療機関に院内の移動の支援を要請し、対応できない旨の回答を得ている。他の手段(ボランティア等介護保険外のサービス等)を利用できない  介護保険のみの要件…利用者が独居で、かつ、介護する家族等が近隣にいないこと。また家族等が同居もしくは近隣に住んでいても要介護状態等で介護できないこと。生活困窮が認められる場合。   【介護保険制度の現状と課題】 ①介護保険料が2000年から2倍~3倍(地域差大きい) ②利用料も2割3割負担(原則2割も検討されている) ③補足給付は世帯収入の他、資産要件も加わり施設入居費用の負担増 ④2024年の介護事業者(老人福祉・介護事業)の倒産や休廃業数784件。特に訪問介護事業の休廃業は448件で過去最高。特に地域の在宅生活を支えている小規模事業所が軒並み倒産や休止 ・訪問介護事業では、唯一報酬の引き下げ ・介護の担い手不足(全産業との賃金差は1ヵ月あたり8万円)、担い手の減少 ・物価高騰の影響、人材確保のための費用増 ⑤訪問介護事業所が1カ所もしくはゼロの地域があり、地域によってサービスの格差がある ⑥経営改善のために身体介護を優先に仕事を選択せざるを得ない状況や土日に入ることのできるヘルパーがいない 介護保険制度で必要なサービスを自分で選択して自分らしい生活を継続するはずが、利用者負担が増え、お金が無ければ必要なサービスが受けられない状況や介護事業所倒産でお金があっても地域によってはサービスが無い状況が生じています。ヘルパーの全国平均年齢は54歳ですが、当法人のヘルパーの平均年齢は62歳です。最高齢は80歳。当法人でもヘルパーの高齢化で事業所の存続の危機を迎えています。人の生活を支え、人生に関わる大切な仕事ですが、他産業との処遇の差は大きく、自分の生活を犠牲にしてまで介護の仕事に就く若い担い手が増えるはずがありません。 【行政の責任といのちとくらし優先の社会へ】  介護保険制度の現状は、利用の制限や利用者負担増により、お金がある人は十分に介護サービスを利用することができ、本当に必要としている人にサービスが届きにくくなっています。障害福祉サービスでは応能負担で1人1人の生活に合わせた分の支援時間となっているように、介護保険制度も個別性を尊重した障害福祉制度に合わせることで様々な格差が解消できるのではないかと思います。しかし、介護職が不足する中、効率と生産性を求められれば「個別性」はないがしろにされ、介護保険制度改定の度に介護が作業に置き換えられている危機感を感じています。 天海さんは年齢で強制的に障害福祉から介護保険制度へ移行する65歳問題に一石を投じて下さいました。理念が異なる制度への意向に疑問や不安もあったと思います。また、金銭的な負担はQOLの低下にもつながります。自治体の解釈や判断により対応が異なることが増えている現状で、千葉市の個別の事情に耳を傾けることなく、画一的な対応や受け入れなければサービス提供を一切中止してしまうという横暴は、市民のくらしといのちを守るための行政職員として実行したことは絶対許せません。 天海裁判は人権や尊厳そして生存権をかけた大切な裁判です。千葉市は責任を認め、この裁判を契機にいのちとくらしが最優先される行政へと転換することを求めたいと思います。 イラスト資料:平等と公平が並列されたイラスト 「平等」には壁から頭を出して野球試合を覗く3人に 台が平等に1台ずつ与えられているが、小さい子どもは 1台では身長が足りず観戦することができない様子が描かれている。 一方「公平」には3つの台の内、2台を小さな子どもに与えることで 野球観戦をすることができている。二番目に小さい子どもには1台、 台に乗らなくても観戦できる大人には台は与えられないが、問題なく 全員が公平に観戦している。                          令和5(2023)年4月15日                               天海訴訟を支援する会                                  天海訴訟弁護団 天海訴訟 東京高裁判決逆転勝訴! 千葉市の上告受理申し立てに対する抗議声明 平成26年、障害をもった状態で65歳を迎えた天海さん(千葉市在住)は、介護保険への移行を拒み、障害福祉サービスの支給申請を行いました。千葉市は、「介護保険の優先」(障害者総合支援法7条)を理由に、その申請を却下しました(本件処分)。  本件処分の効力を争い、本件処分の取消し等を求めた天海訴訟において、東京高等裁判所(控訴審裁判所)は、令和5年3月24日、天海さんの敗訴となった第1審判決を変更して、天海さん逆転勝訴の判決を言い渡しました。 この高裁判決は、「市町村は、域内の住民のための社会保障を担っており、社会保障制度を運用するについては、住民に不均衡が生じないよう配慮すべきであり、住民相互の不均衡をもたらす措置は避けることが求められる立場にある」として、市町村に住民相互の不均衡を避けるための裁量権を認めました。その上で、千葉市は、介護保険への移行に際し、非課税世帯でないのに利用料を負担しない者があるのに、天海さんのような非課税世帯の者には利用料自己負担分が発生するという制度的不均衡を避けるために、天海さんが申請した障害福祉サービスの支給決定をすべきであったとして、本件処分を違法とし、ほぼ全面的に天海さんの請求を承認しました。 本判決ないし本裁判は、主に以下の3点において重要な意義があります。 1.「住民相互の不均衡をもたらす措置を避ける」という限度ではありますが、介護保険移行時の障害福祉サービスの継続支給に係る裁量権を認め、域内住民の社会保障を担う市町村の責任を重視したこと 2.国家賠償法1条1項の適用により、上記の責務を担う地方自治体職員のあり方・職務に係る姿勢が問われたこと 3.私たちの運動の力で裁判所に声を届け、勝訴判決を勝ち取ったこと しかし、4月7日、千葉市は、この判決を不服として最高裁に上告受理の申し立てを行いました。65歳等で介護保険対象となった障害者のみに介護保険への移行を強要し、それに応じないと障害福祉サービスを打ち切るという千葉市の対応は障害者差別に他なりません。また、これは浅田訴訟において岡山市が高裁判決を確定させたことと比べても、千葉市の住民に寄り添わない頑迷な姿勢を示したものであります。 私たちは、自らの過ちを認めず、反省もしない千葉市の対応に強く抗議し、千葉市が上告受理の申し立てを取り下げることを要求します。そして勝訴確定のために全力を尽くします。